つい最近 ライナック システム社の新型イオンライナックがビーム加速に成功した。
イオン線形加速器では
ここしばらく
IH インターデジラル型というタイプのものが流行している。
その利点は低消費電力でサイズが小型で長さが短いというものだ。
最初の高性能版が作られたのは
ドイツの重イオン研究所GSI だった。その性能のよさに
大企業のシーメンスが目をつけその知的所有権を購入してしまった。
一方、原爆の開発で名高い
ロスアラモスからスピンアウトしたいくつかのベンチャー会社のひとつの
ライナックシステム社は
IH インターデジラル型のバリエーションのひとつの
RFIの開発に着手し、今年になってついに
ビームの加速に成功した。
そのビームを示しているのが最初の写真である。
二番目の写真は加速するためのRFの波形を示している。
このRFの増幅器はやはりロスアラモスからスピンアウトした
ベンチャー会社が納入している。
三番目の写真がRFIのライナックで
この小ささで陽子を2MeV強まで加速できる。
RFIの
最大の特徴は大電流を加速可能なことで
これで
BNCT用の専用加速器に
使用可能なことだ。
BNCTとは
大強度の陽子ビームをリチウム標的にあてて
大量の中性子を生成し
薬剤で標的化した
末期ガンの治療をねらっているもので
いままでは
原子炉をつかっていたが、それでは
扱いが大変なので
専用加速器が切望されていた。