放射線治療ではがん細胞をやつけるのに4Rという金の法則がある。
4つの英単語の頭文字をとったもので:
1)Repair effects,
2)Cell cycle Redistribution effects
3)Reoxygenation effects
4)Repopulation effects
1) はどういうことかというと
腫瘍細胞は正常細胞よりも DNA の修復の力が弱い。これはどうも仮定のようだ。
2)は放射線の影響は細胞分裂の周期のどの時期にいるかによって異なるというもの。
3)は細胞の酸素の含有密度の影響。がん細胞は酸素の密度の高いところと低いところが
混じっている。
4)はちょっと微妙な機構がからんでいて、
がん細胞が殺傷されるときに正常細胞も同時に被害を受け(コンプリケーション?)、
被爆線量の量によってその
存在割合が異なり、その結果分布も変わってくる。
これらのプラスの効果とマイナスの効果が絡み合って、放射線治療効果が決まって来る。
放射線医師はこれらの4Rを意識しながら治療をおこなわないといけないようだ。そして患者もこのことをしっかり頭に刻むべきだった。
ところが
重粒子線治療の場合、1)、2)、3)のRはあまり関係なさそうなのだ。
ということは治療もはるかにシンプルになる。
重粒子線治療は放射線治療のゴールデン ルール
“4R‘s”を超えるのではないか。
照射の間の時間(横軸)にたいして(腫瘍)細胞を
殺傷する度合い(縦軸)を示している。
上向きの矢印曲線は照射の間隔をあけたほうが
殺傷効率は高く、
下向きの矢印曲線は逆に照射間隔をあけると
殺傷効率が下がってしまうといっている。
セルサイクル効果(細胞分裂)や酸素効果の効率をあげるには
間隔をあけたほうがよいといっている。
逆に自然の摂理というか体の免疫機構というかが
働く効果は間隔が短いほうがよいといっている。
つまり短時間で照射しないと免疫系が勝ってしまうと
解釈できるのではないか。

図は従来の放射線治療の4Rで