マイクロビーム照射というあたらしい加速器の技術の進展によって
がんの機構の解明にあらたな進展がでてきそうだ。
マイクロビーム照射では顕微鏡をみながら一個の細胞あるいは細胞核に
アルファ線や重粒子線をあてる照射技術をいう。
現在あるいは将来 日本では高崎原研、放医研、東北大学、若狭湾、神戸市などで可能という。
あらっぽくいうと
一個の細胞核にアルファ粒子をあてるとあてていない周囲の3個の細胞に
”お前も死んでいる”との自殺命令がでて、DNAの鎖がきれてしまうという現象だ。
この一部をバイスタンダー効果とよぶ。
(バイスタンダードではない。それではダブルスタンダードになってしまう)
一部というのは
時空の両方で効果があるというのだ。
周囲の3個というのは空間的効果で、子孫にも影響をあたえるという時間的な影響も認められるという。
以下http://www.iips.co.jp/rah/n&i/kyoto_s2.htm
からの要約:
発がん機構については、従来のDNAの直接的な傷害による遺伝子の変異が原因とされてきた機構(直接機構)とは別の間接機構が約10年くらい前に提唱さ れ(そのパイオニアのひとりが、シンポジウムで発表したJB Little)、現在では放射線発がん研究の主流となりつつある。一言でいうと、実際に照射を受けた細胞以外の細胞も同じように発がんに結びつくような傷 害を「間接的に」受ける、というもの。これには二通りあり、照射を受けた細胞の子孫に現れる「時間的な」間接影響(遺伝子の不安定性と呼ばれる)と、照射 を受けた細胞の近傍の細胞に現れる「空間的な」間接影響(Bystander effectと呼ばれる)である。
今回のシンポジウムではBystander effectに焦点が集まっていた。話題はギャップ結合(細胞と細胞が接しているときに、物質のやりとりをして相互に情報の交換を行うために、お互いの細 胞膜同士を貫通して形成する通路(穴)のこと)を介して、この放射線傷害の情報または傷害のシグナルを伝達しているようだという点。このシグナルの実体は 未知だが、活性酸素が関与しているようでもある。このようにして放射線の発がんに結びつくような影響は時間的・空間的に伝播し、最終的に我々が疫学や動物 実験などでみる発がん確率やDNA変異のデータを形成することになる。
そもそもこうした新しい考え方の導入を強いたのは、放射線発がん細胞の染色体変異の分析結果で、いわゆる高線量放射線照射に特有の変異(欠失)が見られ ず、むしろ自然発がんに見られる点変異が主となっているという事実である。これを説明するために、この直接のDNA傷害ではなく自然に発生する変異をがん に成長させる、いわばプロモータのような役割を果たす間接的な影響というものを考える必要があった。現在はこのメカニズムの解明に興味の中心があり、線 量・線量率が問題にされるのは先のことであろう。
がんの機構の解明にあらたな進展がでてきそうだ。
マイクロビーム照射では顕微鏡をみながら一個の細胞あるいは細胞核に
アルファ線や重粒子線をあてる照射技術をいう。
現在あるいは将来 日本では高崎原研、放医研、東北大学、若狭湾、神戸市などで可能という。
あらっぽくいうと
一個の細胞核にアルファ粒子をあてるとあてていない周囲の3個の細胞に
”お前も死んでいる”との自殺命令がでて、DNAの鎖がきれてしまうという現象だ。
この一部をバイスタンダー効果とよぶ。
(バイスタンダードではない。それではダブルスタンダードになってしまう)
一部というのは
時空の両方で効果があるというのだ。
周囲の3個というのは空間的効果で、子孫にも影響をあたえるという時間的な影響も認められるという。
以下http://www.iips.co.jp/rah/n&i/kyoto_s2.htm
からの要約:
発がん機構については、従来のDNAの直接的な傷害による遺伝子の変異が原因とされてきた機構(直接機構)とは別の間接機構が約10年くらい前に提唱さ れ(そのパイオニアのひとりが、シンポジウムで発表したJB Little)、現在では放射線発がん研究の主流となりつつある。一言でいうと、実際に照射を受けた細胞以外の細胞も同じように発がんに結びつくような傷 害を「間接的に」受ける、というもの。これには二通りあり、照射を受けた細胞の子孫に現れる「時間的な」間接影響(遺伝子の不安定性と呼ばれる)と、照射 を受けた細胞の近傍の細胞に現れる「空間的な」間接影響(Bystander effectと呼ばれる)である。
今回のシンポジウムではBystander effectに焦点が集まっていた。話題はギャップ結合(細胞と細胞が接しているときに、物質のやりとりをして相互に情報の交換を行うために、お互いの細 胞膜同士を貫通して形成する通路(穴)のこと)を介して、この放射線傷害の情報または傷害のシグナルを伝達しているようだという点。このシグナルの実体は 未知だが、活性酸素が関与しているようでもある。このようにして放射線の発がんに結びつくような影響は時間的・空間的に伝播し、最終的に我々が疫学や動物 実験などでみる発がん確率やDNA変異のデータを形成することになる。
そもそもこうした新しい考え方の導入を強いたのは、放射線発がん細胞の染色体変異の分析結果で、いわゆる高線量放射線照射に特有の変異(欠失)が見られ ず、むしろ自然発がんに見られる点変異が主となっているという事実である。これを説明するために、この直接のDNA傷害ではなく自然に発生する変異をがん に成長させる、いわばプロモータのような役割を果たす間接的な影響というものを考える必要があった。現在はこのメカニズムの解明に興味の中心があり、線 量・線量率が問題にされるのは先のことであろう。