懐かしいお店のこと③ | ごめんそれほど好きじゃない

ごめんそれほど好きじゃない

好きだけどそれほど熱中してるわけじゃないんです。

同じころ、私はよく御堂筋界隈をうろついていた。

なんせ土曜日の半ドンのシステムのお陰で、

ランチもせずに会社を放り出されるわけだから

腹は減るし半日だから遠出も出来ないしと。

 

今はそんなこと出来ないだろうが、当時は

通勤定期を購入するとき、駅員さんに

同一料金の範囲内全部入れて、とお願いしたら

御堂筋線も四つ橋線も堺筋線もオールOKな

万能定期券が出来上がる。

つまりは、御堂筋線の本町、四つ橋線の本町、

堺筋線の堺筋本町をスルリと通れる裏ワザ。

なのでうろつきまくった。

 

そんな中で行った、なんか乙女しか入ったら

ダメよ、みたいなピンクの内装のケーキ屋さんが

あった。「インナートリップ」という名前。

細長いビルだった気がする。なのにすごく

こだわった作りだった。

そして狭いのにやたら美味しい「ナオミ」という

イチゴの乗ったミルフィーユがあった。

 

なんか本当に狭いから、肩をすぼめながら

「ナオミ」に舌鼓を打つ、思い出しても滑稽な私

の当時の姿だけが記憶に残っている。

 

ここは相当な名店だったようで、この「ナオミ」

という名前は、かの谷川俊太郎さんが命名したと。

その他のケーキも全部そうだったかな。

今みたいにスマホで記録してないからなあ…。

 

で、あの建物は黒川紀章氏が設計したらしい。

ビル自体は残ってる筈なんだが、

もう当時の面影すらない。

 

もっとしっかり記憶に残せばよかった。

ここも、もう無い。

ただ、ここで修業した人達が各地で腕をふるって

おられるという話が沢山ある。

「ナオミ」も、東京で息子さんが受け継いで

おられるようだと、あちこちの記事の拾い読みで

知った。

 

外で食べた美味しいモノは一通り写真で保存

していて、さほど思い入れもなく放置だが、

こうやって記憶を掘り起こすときに必要だな。

当時は出された食事をカメラでパシャパシャ

なんて失礼にあたるから出来なかったし。

 

もう、美味しいって記憶しか無い。

あるだけ良いのか。