「爺や!早くわぐにゃ~を助けに行きましょ!」
気弱なわぐにゃ~がガノトトスに振り回されているのが、容易に想像できる。
可愛くて、おかしくて、ちょっと笑ってしまいそうになるが。
「……御意。」
大急ぎでテントに武器を取りに向かう。何かあったら大変だわ。
その途中ジョウジはふと気がついた。
「そう言えば、若と虎姫殿の姿が見えませんが…。」
ラギとナイトの一件でつい失念していたが、2人の姿が見えない。
「一体どこに行かれたのでしょう?」
ジョウジの問いに、とわは太刀を背負いながら答える。
「兄様と姉様なら、かなり前に2人で海に入っていったわ。」
ーーー時間を遡ろう。
テントを張る為の場所作り、つまり瓦礫撤去がある程度進んだ頃。
「ワグナー…。」
虎姫がワグナーに甘えるように飛びついて来た。
「どうした、虎姫?」
「瓦礫も片付いてきたし、後はガロンと爺やさんに任せて…。」
「?」
「あたし達は海に入って食材を獲りに行かない?」
にっこりと笑う虎姫。
ワグナーは、考えた。確かに、もうこの残量ならば、自分たちがいなくても大丈夫だろう。
「そうだな、テントを張るのは二人に任せておけば大丈夫だね。」
「じゃあ決まりね、とわちゃ―ん。」
近くで草むしりをしていたとわを、虎姫が呼ぶ。
「どうしたの?姉様?」
「あのね、これからワグナーと一緒に、海に食材を獲りに行こうと思ってね。」
「…うん。」
「それでね、爺やさんとガロンにも伝えておいてほしいの。」
心配するといけないからねと言い終えてとわを見ると、彼女はちょっと遠くを見るような表情をしていた。
「とわちゃん?どうしたの?大丈夫?」
「うん…何でもないの。大丈夫!」
「そう?」
「2人にはちゃんと伝えておきますわ。」
「お願いね♪じゃあ、行きましょうか、ワグナー!」
「うん…とわ、すまないが後は頼むよ。」
「行ってらっしゃい、たくさん獲ってきてね。」
仲良さげな2人を見送るとわ。
翳りのない晴天に対し、彼女の表情はどこか冴えない、曇り空のようであった。
―――わたくしも泳げたら、兄様達と一緒に行けるのに。
泳げない。犬かき程度しかできない、とわのコンプレックスの1つであった。
ーーーあとで、誰かに教えてもらおうかしら…。
こちらは、ワグナーと虎姫。
虎姫の見事なナイスバディに頬を染めながら、ワグナーも水着に着替える。
ぴっちりとした海パン姿に、今度は虎姫のほうが赤くなった。
とりあえず2人で海に飛び込み、魚の群れを探してみる。
しかし、なぜか辺りには生き物が見当たらなかった。
ーー何か変ね、ワグナー。
海中で言葉は発せないが、いつも一緒にいる彼らは、表情やしぐさで会話ができる。
ーーああ、用心しよう。
潮の流れに注意しながら、しばらく魚影を探していると…。
「「!」」
外海から巨大な何かが泳いで来た!
慌てて岩の窪みに隠れる2人。息を殺し、気配を潜める。
ワグナーはハンターナイフを握りしめた。
2人から少し離れた場所を、悠然と泳ぎ過ぎて行く巨大な生き物は……!
ーーーガノトトス!
巨大な異形の魚は、2人に気づかずに通り過ぎて行った。
ワグナーも虎姫も岩陰から頭を出し、その後ろ姿を見送る。
すると突然!
悠々と遊泳していたガノトトスが、急に何かに引き寄せられるみたいに海面に向かって行く!
ーーえ、何?
ーー何だ?
ガノトトスは突如暴れ出すと、激しく悶えながら水面上に飛び出して行った!
ワグナーは、その魚竜が消えた方向を指差し、虎姫を見る。
ーー追うよ虎姫!
ーーうん!
つづく
とわ&GG共著