別荘は、入り江の奥、人の目につきにくい場所にあったのだが…。
現場に到着した一行を出迎えたのは、腐って崩れ落ちた、屋敷の残骸であった。
「やはり朽ち果てていたか…。」
別荘の無残な姿を見て、ジョウジが呟く。
「しゃあないぜ、誰も手入れに来てなかったんだろ?」
ガロンがつん、と門らしきものをつつくと、ガラガラと崩れ落ちた。
「うへぇ…。」
「気にするな、爺や。もとより、テントを使うつもりだったんだ。」
「そうよ、そのために荷車を用意したんだし。そうね、ここにテントを張りましょうよ。」
若人達は、全く気にする様子もない。むしろ楽しげに別荘跡を眺めている。
「皆様…かたじけない。それでは、この場所にテントを張りますので、まずは邪魔な瓦礫を片付けましょうか。」
全員で手分けして片づけをしていると…。
「おい、オッサン!ちょっと来てくれ。」
ガロンが何か見つけたようだ。
「どうした?」
「なぁ、これって…。」
ガロンが指差した場所には、鉄製の扉があった。
少しだけ開き、それが観音開きになっていることが見て取れる。
「…これは…。」
腕を組んで考え込むジョウジ。
そんな一行の様子を草木の陰から見ている人影があった。
仮面の男ラギだ。
――とわ。やはり、美しい女だ…。
ラギがとわを見守っていると、その背後から――。
「おい、そこで何をしている?」
「!」
咄嗟に樹の枝に飛びあがるラギ。
――何だ?まさか…俺の隠密術を見破る奴がいるのか?
枝から見下ろすと、ユクモ装備のハンターが、ラギを見上げていた。
「何者だ?」
ラギが問う。
「そいつは俺の質問だ。お前こそ何者だ、そしてお嬢…とわに何用だ?返答次第では…。」
「次第では?」
「…こうだ!」
言い終わるか終らぬかのうちに、編み笠の男の懐から短刀が飛びだし、ラギを襲う!
「…!」
キィィーーン!
いつの間に装備したのか、両手に持った双剣で短刀を弾くラギ。
「ほぅ…。あれを防いだか…。」
「――貴様……。一度、死ぬか……?」
仮面に隠れて表情は見えないが、全身に殺気がみなぎっている。
「おもしろい…お前に俺が殺れるかな?」
こちらも殺気を纏い、薄ら笑いを浮かべるユクモ装備の男。
「「…………。」」
2人の冷気が接触する。
「…せぇいっ!」
「うりゃぁぁぁ!」
ガキィィィン!
ギィィィン!
斬りつけて来た仮面の男の双剣を大剣の腹で受け止め、ユクモ装備の男は、もう片方の手でハンターナイフを操り、双剣を叩く。
それは物凄い衝撃音で、離れた場所に居たとわ達の耳にも届く。
ガキィィィーーーン!
ジョウジが扉の前で考えていると、金属同士がぶつかりあう物騒な音が響いてきた。
「…何だ?」
「おいおい、何の騒ぎだ?」
ガロンと2人、振り返る。
すると、1匹のアイルーがこちらに駆けてくるのが見えた。
「とわお嬢さ~ん!大変だニャ~!」
「ジェット君?!」
ナイトのオトモ、ジェット君はとわの手前で立ち止まり、叫んだ。
「お嬢さん、旦那さんを止めてほしいのニャ!」
「どういうことなの、ジェット君!」
とわは屈みこんでジェット君の手を握り、事情を聞く。
手紙を受け取り、紫の花びらを追いかけて来た矢先、とわの様子を見ていた怪しげな仮面男とトラブルになり、お互い武器を抜いてしまったとのこと。
「やだ!早く止めなきゃ!」
駆けだそうとしたその肩を――。
「そいつは俺達の役目だ。なぁ、オッサン?」
ガロンが掴む。
「あぁ、お前の言う通りだな、ガロン。」
とわの行く手に立ちふさがるジョウジ。
「爺やにガロン…!」
「お嬢様、ここは我らにお任せを。」
「頭に血ィのぼったアイツを止めることができるのは、俺達くらいだろ?」
――確かに、ガロンの言う通りだろう。とわは勿論、ワグナーでも止めることは到底無理だろう。
「…お願いね、爺や、ガロン。」
「――御意。」
「任せとけ!」
2人は心配そうなとわをその場に残し、ナイトと、おそらくラギであろう仮面の男のもとへ駆けだした。
つづく
とわ&GG共著