――あいつめ…今朝方から顔を見ないと思ったら、こんな所にいたのか…。
説教をしようと近寄ったその時。
隣にいた編み笠の人物が、ガロンの頭を豪快にソースの中に沈めた。
「ナイト様!?」
お嬢様が声を上げる。
振り返った彼は、笠を外して会釈する。
「これはこれは…お嬢、そして爺や殿。」
「なにしやがる!」
ガロンは彼のマントで、顔のソースを拭う。
その直後、今度はソースの染み込んだ肉が、彼の手により、ガロンの顔に貼りついた。
「ほらよ、たっぷり食え。美味いぞ。」
「ふごっ…こりゃうめぇ!じゃねーよ!!」
全く、この二人…仲が良いのか悪いのか。
お嬢様も笑いながら、二人に手を振る。
「またね、ナイト様!
爺や、用事を済ませちゃいましょ♪」
「…御意。」
いまだ屋台でじゃれあう二人を後に、我々は目的の店に向かった。
さて。
お嬢様ご希望の店に着いたのだが…。
さすがに、男が中に入る訳にはいかない。店の前で待つことにする。
前を通る人達の複雑な視線を感じながら待っていると、ナイト殿がやって来た。
「どうなされました、この様な所で?」
拙者が理由を話すと、
「でしたら、店ごと借り切ればよいのでは?」
そう言ってお嬢様に店員を呼んでこさせる。
「これだけあれば貸切にできますかな?」
彼は懐から札束を取り出すと、店員に手渡した。
「ナイト殿、よろしいのですか?」
「構いませぬよ、この方が、お嬢も気兼ねなく買い物ができるでしょうし。」
買い物客が外に出た後中に入ってきた我々を見て、お嬢様は驚いた。
「え…貸切?」
「ええ、こうすれば気兼ねなくお嬢様が買い物できるだろうとの、ナイト殿の案でして…。
それに拙者も下着屋の前で衆目に晒されるよりは、まだ店内の方が…」
店の隅に腰かけ、店員が持ってきたコーラを飲んだ。
腰かけてみたものの、どうにも落ち着かない…。
「爺や、見て見て!どうかしら?」
お嬢様が試着室から出てきた。
…が。なんと下着姿だ!
「…おわっ!」
飲みかけのコーラを吹き出しそうになった。
「…お嬢様…何も拙者に見せずとも…。」
顔が熱くなる。
「…お嬢のイメージにぴったりの清楚な装いですな。」
ナイト殿は少し視線を逸らしながら言う。
「さすがに真正面から見るのは無作法でしょう。」
つづく
GG著