わたくしは、爺やにお願いしてみた。
「お小遣いが欲しいわ。」
「どうされました?」
爺や、やっぱり理由を聞いてくる。昔から、ただ甘やかすことはしない。
わたくしは、配られていたチラシを見せ、言ってみた。
「欲しいものがあるの…。」
爺やはチラシをじっと見て。
「アイルー用の餌が欲しいのですか?」
可笑しくて吹き出してしまう。
もう、この人は…。
「ここ…。」
わたくしが下着の安売りの記事を差し示すと。
爺やはそっと広告から目を逸らす。
「まさか…それを?」
わたくしは頷く。
「屋敷にほとんど置いて来ちゃったから…あまり替えがないの…。
虎姉様は兄様とどこか行って居ないし、ガロンは論外だし、一人で行くのも……。」
爺や、照れ屋だからきっと嫌がるわよね…。
「…確かに。
……わかりました、お供します。」
予想に反し、爺やは承諾してくれた。
わたくしは嬉しくなった。
夏の眩い日差しの中、市場へ向かう。
食糧の買い出しと、式の下準備で揃えなきゃいけない物もある。
メモをバッグにしまい、爺やと並んで歩く。
「お嬢様の防具も、見ていきましょうか。
それに式参加用のドレスも。」
…わぁ~!わたくしもドレス着て良いのね!
嬉しくて爺やに抱きつく。彼はふっと笑った。
わたくし達の宿から、歩いて10分くらいの所に、市場の入り口がある。
ゲートをくぐる前から、中の活気が熱気として伝わってくる。
安売りチラシがまかれた為か、いつもより人出が多い。
胸が踊る。わたくしは、入り口近くの宝石屋に走り寄った。
「お嬢様、迷子になりませぬよう……って……。ええっ?!」
爺やが、きょろきょろしている。
――ふふ、わたくしはここよ♪
敢えて見つかりにくいよう、わたくしは通りに背を向ける。
久しぶりの2人きりの時間。甘えてもいいわよね!
お店には様々な宝石が並んでいる。
屋敷でお母様が集めていたものにはかなわないけれど。
「お嬢様、勝手にいなくなっては困りますぞ…。ただでさえ、今日は人が多いのですから。」
肩に爺やの大きな手。
――やっぱりすぐ見つかるわね…。
振り返ると、彼はわたくしの嬉しそうな顔に、首を傾げた。
「…お気に召した石でも、見つかりましたかな?」
――今日は1日、存分に楽しむことにするわ!
つづく
とわ著