「私としたことが…女性に対し、何たる無礼を…。」
謝罪するワグナー。
真っ直ぐに、虎姫の目を見つめてくる。
――深い青に、吸い込まれそうになる。
虎姫は、頬を染めうつむき、黙り込む。
とても、あの端正な顔を、正視できない。
…それでも、無意識で視線が行ってしまう。
「あの…」
ワグナーは、おそるおそる虎姫に声をかけようとした。
視線が再び交わる。
へたっ…。
腰が抜けたように、その場に座り込む虎姫。
「!」
ワグナーは咄嗟に虎姫の傍に駆け寄り、肩を抱き支える。
「大丈夫か…?」
彼女の頬に、銀の髪が触れる。息づかいさえも感じられる位置に、ワグナーの顔がある。
しっかり、と囁く声が、耳をくすぐる。
肩を抱く力強い腕。
「…も…あたし…。」
くらっ…。
虎姫の身体が傾く。
ワグナーは失神した彼女を抱える格好になり。
「トワさん!……あれっ…。……どうしよう……。」
いつの間にか2人きりにされ、どうしたら良いか途方にくれるワグナーであった。
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しばらくの後。
ふと目を覚ます虎姫。
「あれ…ここは?」
「気がついたかい?」
穏やかな声に、慌てて身体を起こして周りを見る。
ラフな普段着になったワグナーが、ベッドサイドで本をめくっていた。
「宿屋の君の部屋だよ。驚いたよ、いきなり気を失うんだもの…。」
後にトワから聞いた話だが、倒れた自分を、彼がお姫様抱っこで部屋まで運んだという。
再び卒倒しそうになった虎姫であった。
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結局、採取ツアーは中止になってしまった。
「仕方ないわ…私が今夜の宿代、払ってあげる。」
トワの心遣いのおかげで、ワグナーとガロンは野宿だけは回避できた。
さらに幸いにも、その夜の夕飯は、虎姫が手料理を振る舞ってくれた。
肉メインの、ハンター向けスタミナ食だ。
「うめぇじゃねーか!
ねーちゃん、いい腕してるよな!」
余りに嬉しげに食べるガロンに、一同思わず笑いがこぼれる。
「少しは遠慮して食べろよ!」
ワグナーも久しぶりにおかわりをし、その夜は酒まで飲んだ。
とりあえず。
明日は明日の風が吹く、寝て起きたら、考えることにするか…。
つづく
とわ&GG共著