相変わらず頭の中は濃霧がかかっている。
思い出したいのだが、痛みが走って、集中できない。
真っ白な砂浜。
真っ白な自分の記憶。
一人称は「わたし」か…。
職業は「ハンター」らしい。
持ち物は、唯一、このナイフのみ。ネコいわく、「ハンターナイフ」というらしい。
……ココナッツを割るのに、もってこいだ。
割ったココナッツを吸いながら、わたしは浜辺を歩く。
何か、思い出すかもしれない。
…後ろを振り返ってみる。
なんだろう、この違和感は。
誰か居て当然、のようなこの違和感。
「……何かに憑かれてる?うわ、怖っ!」
…独り言さえ虚しい。
大事な、何かを忘れている気がしてならない。
恋人でも、居たのだろうか…?
―もしかしてわたしは国際的なスパイか何かで、指名手配されて追われて……。
―…。
―どうも違うな。
ネコたちが集まってくる。
「ハンターさん、何か思い出したニャ?」
「思い出せなかったら、ボクらとここで暮らせばいいニャ。歓迎するニャ~。」
…歓迎してくれるのか。
どこの誰ともわからぬ自分を。
ネコは、アイルーというらしい。
アイルーたちに誘われ、浜辺で散策を楽しむ。
欠けた貝殻、なにかの破片、木の実、書物、武器防具、メッセージボトルなど。
時間がゆったり流れ、自由な時間を心ゆくまで楽しむ。
釣りをし、散歩をし、アイルーたちと遊び。
わたしは忘れかけていた。
とても大切なものを。
本来なら、じっとしていられないはずの重大な事件を。
思い出そうとするとこんなにも胸が痛い。
3日かかって思い出せたのは、大切な者との別離があったということだけ。
なくしたものの大きさを思い、わたしはため息をついた。
つづく