ぽっかりと、大きな穴があいている。
埋めようにも、どこから材料を運べばいいかもわからない。
真っ白な大地に、ただひとり。
「…あ痛た…」
痛みで目が覚める。
あちこちがズキズキ痛む。
――なんだ、これ…。
頭が重い。
体を起こそうとするが、言うことを聞かない。
それどころか、胸の奥が痛い。
―なんだ、このくすぶるような痛みは…?
「こいつ、気がついたニャ!」
「生きてるニャ!」
頭上でネコみたいな生き物が話をしている。
眩しくて目が開けられない。
太陽が、傘で遮られ、年配の婦人のおっとりとした声がふってくる。
「ここはチコ村って言うのよォ。ここに流れ着いたってことは、ハンターさんは、遭難したのねェ…。」
――は?遭難?誰が?
周りを見回すと、おばあちゃんが1人。ネコがたくさん。
皆、じっと自分を見ている。
――わたしが?
――遭難?
ばっと起きあがると、全身に痛みが走る。
ネコたちが支えてくれる。片膝を砂につき、瞬間、何かが頭をよぎった。
―あれ?
深い霧の中にいるようだった。
思い出せない。
「あなたのお名前は?」
名前…わたしの……
いや!
ちょっと落ち着こう!落ち着けわたし!
深呼吸をし、もう一度。
………。
わたしはがっくりと手をついた。
何もわからない。
思い出せない。
わたしはいったい、
何をなくしたのだ――?
つづく