狂竜症に冒され、我を忘れたように暴れるエルク。
ワグナーも逃げ回るので精一杯だった。
――なるべくなら、なんとかあいつを眠らせて大人しくさせたい!
ワグナーの悲痛な願いは届かず、爺やを崖下エリアに吹き飛ばし、仲間もキャンプ送りにし、狂ったウルクススは暴走を止めない。
――ダメか!――
仲間が二回落ちている。もう後がない。
自分に向かって狂気の瞳を向け、突進してくるウルクスス。
――ならば、せめて!
せめて、安らかに!!
ワグナーは、渾身の一撃を繰り出した。刃は深く、ウルクススの腹に突き刺さる。
その瞬間。
ウルクススの目から、狂気が消えていく…。
揺れるワグナーの耳飾り。
「きゅぅぅ~…」
ウルクススは、甘えるような声をあげ、目を細めてその飾りに鼻先を寄せる。
「…エルク!わたしがわかるのか!」
ワグナーはずいぶんと大きくなった、かつての親友に呼びかける。
狂竜化が解けて、わたしを認識できる今なら、なんとかこいつを助ける方法があるかもしれない!
が。次の瞬間。
ウルクススの体がびくんと大きくはねる。
背後からの銃撃。容赦なく幾撃も追撃が入る。
「ああ……」
ワグナーと目を合わせながら、ゆっくりと崩れ落ちてゆくエルク。
大きな瞳に、いっぱいの涙をためて――……。
「…エルクーーー!!!」
あらん限りの声で、ワグナーは泣いた。
駆けつけた爺やの胸にすがり。
あの日、可愛がっていたエルクを生息地へ返した時のように。
声が、涙が、枯れ果てるまでワグナーは泣き続けた――…。
やっとの思いで宿に戻り、子どものように眠ってしまったワグナーを見届けると、ジョウジはそっと宿を後にした。
彼もまた、心の整理をつけなければならない。
街で馬を一騎借り、夕暮れの野を駆ける。
雪はやんでいた。
たどり着いたのは、
真新しい花で彩られた、真新しい墓地。
ジョウジは、その前に跪き、持参した両手いっぱいの花を手向ける。
彼の女性を思わせる、優しい薫りがジョウジの頬を撫で……
彼は、そっと墓標にくちづけを落とした――。
「体は遠く離れても、
心は、いつも繋がっているわ…」
沈みゆく太陽の、最後の煌めきが、墓標と彼の姿をひとつに溶かす。
――ジョウジの胸のペンダントが、ひときわ美しく輝いた――。
哀しき再会fin とわ&GG共著