京産大 VS 明治 大学選手権の話 | ふぇちずむ

京産大 VS 明治 大学選手権の話

 

今季の京産の試合はジェイスポーツのオンデマンドのおかげで全試合見れました。

夏も絶好調でだったのでかなり期待をした1年でした。

実際に、シーズンが始まると、同志社以外には苦戦をしたというのが、事実として現れました。

FWが圧倒すると、かなり優位に戦えるけど、そうでなければ苦戦をする。

天理には負けましたが、FWの強い関学、立命に苦しんだのは、、まさしくそんな状態でした。

 

選手権の最初の相手は法政。

法政のBKはスペシャルなメンバーは多いけど、FWは圧倒できるだろうから同志社のような結果になるだろうと個人的には予想していました。

ただ、想定外なことが2つ。早々に24点も取られてしまったこと。久しぶりのファカイ君が入りすぎて退場になってしまったこと。でも、いい意味で開き直り、最後は大逆転の末、準々決勝に進むことができました。

数的優位の相手が、京産大の世界に引き込まれる、、すなわち京産ワールドに引きずり込んだベストな試合でした。相手は数的優位なのにスクラムを押さない、数的優位なのにモールを押される、数的優位なのにBKが足らない、。現実は14人で45分ほど戦ったとはあるものの、気持ちの上では中川君も一緒にスクラムを組んで15人で戦ったんだと思います。この試合はそれこそ、ずっとずっと語り継がれるほど感動し心を打たれた試合でした。

 

そして明治戦。





正直、きついと思っていました。FW平均で10kg違うとスクラムに大人一人多いのと同じですから、、。いくらパックが強いとはいえ、総重量の重さで圧力をかけられてしまうのではないかと、、。明治の小村さんも「京産とFW対決をしたい」とおっしゃってましたので、、相当自信があるのかと、、。また、早明戦を見る限り、明治のディフェンス能力は高く、早稲田は攻めても攻めても戻される状態でしたので、トライをとるイメージがなかなかつきませんでした。

 

緊張の中、試合がはじまり前半は終始明治ペース。ほぼ、悲鳴しかあげていません。ただ、大きな光が見えたのも事実です。スクラムが昨年より押せました。また、前の試合が法政だったのでスピードあるBK攻撃も比較的慣れており、あわてることもなかったです。そして、よく守りました。ゴール前で何度ターンオーバーしたことか。中川君に変わって入った「小さな巨人」宮崎君も攻守に大活躍でした。

 

ラグビー界一男前と私の周りで言われている濱田君の惜しいカウンターもありましたが、前半相手をノートライに抑え、風下0-6で折り返したときには、心で「行ける、、」と思いました。

 

後半始まり、明治の攻撃は変わらず脅威だったものの、前半と大きく変わったのは廣君が入ってくれたこと。仰星の日本一のメンバーですが、本人は花園メンバーには選ばれず、。そんな中、上を目指し京産を選んでくれ、こうやって選手権にキラーとして出場してくれたことには本当にうれしく思います。196cmとひときわ大きくラインアウトが完全に改善できました。モールを組めば押せる、、。これも実証できました。京産の攻撃に相手も反則が増え、一気に京産ペースになり、、連続モールから認定トライで逆転。

 

さらに、勢いは止まらない。モールが崩れたところで、しつこくFWのゴリゴリ攻撃。最後はキャプテン代行の酒井くんが飛び込んでトライ。酒井君らしく低く押し勝ったトライでした。この酒井君も愛知春日丘の花園のメンバー。春日丘と言えば、言わずと知れた元ジャパンの長江君の後輩。背格好も似ており、愛くるしい顔をしている。春日丘の時もスタートメンバーではない控え組。こういうメンバーが多いのも京産らしいところ。

 

残念だったのは、このあともう一つ連続でトライが取れなかったこと。流れは完全に京産だったのですが。明治のFW陣は去年の敗退を思い出したかのような顔つきだった。個々の突進では勝てない、だからこそ塊で、、。スクラム、モールではあの明治の重戦車に勝っているのは事実である。もう一つFWでとって相手FWの心を折りたかった、、が、そこは流石に明治。京産の攻めからくるエラーを確実に逃さない。走って繋いで最後にBKがしとめる。3連続トライであっという間に逆転された。

 

正直、、ここまでか、、と。1週間前に14人で死闘を繰り広げ、疲れもとれてない中での明治の波状攻撃を受け続け、BK、FWのあがりが徐々に落ちてきている。一方、明治は交代してくる選手もえげつない選手ばかり。ガンガン疲れのある京産メンバーに襲い掛かる。ただ、ここからが逆転の京産と言われた今年の強さ。4年生で初めてレギュラーになった河野君。彼も仰星では日本一になったWTBのレギュラー。163cmほどしかなく小さい。入部当時はSHに転向したもののやはりボールを持って走りたい、、とWTBへ戻った。さらには、大学、社会人で生きていくためにキックを磨き、両足蹴れるのはもちろん、ゴールキックの精度の高さも素晴らしい。彼のゴールキックでどれだけチームを助けてくれたことかと、、本当に感謝です。そんな、河野君が明治のキックからカウンター、。それを濱田君が突っ込み、田畑君へ。田畑君がライン沿いを走り、囲まれた所を両手パスで坂本君へ。最後は坂本君がトライをして、、6点差へ、、。

 

何度見てもいいシーンだった。去年の明治戦。自陣ゴール直前で李君がターンオーバーしたボールを全員で繋ぎ、最後は中川君がトライをした。大切な大切に繋いだボールを中川君がトライをした。そのシーンとダブるんです。入院中の中川君の想いも入ったこのボールを最後は両手で大切に田畑君から坂本君へ渡された。小さい時からずっと中川君と同じ道を歩いている坂本君が最後は、、トライをした。うれしさ以上に涙がこみ上げてきた。

 

坂本君は御所実の2年生からの花園レギュラー。あの常翔の松井君を止めたタックルは素晴らしかった。順調に高校JAPANにも選ばれた。中川君は御所実の主将。主将の時に花園には出れなかったけど、2人で京産に進学をしてくれた。まさに御所実の両エースが京産を選んでくれて本当にうれしかったのを今でも覚えている。そんな、個人的な思いも重なり、涙が止まらなかった。

 

河野君のキックがあればトライさえ取れれば逆転できる。そう願いを込めた残り7分、、ただ、、この思いは最後までかなわなかった。

残念ながら、ノーサイド。最後はあわてなかった強い明治。あっぱれです。

 




最後に大西先生を囲んだときの泣き崩れるメンバーを見て胸が苦しくなった。

大学生でこんなに泣くチームがどこにあるだろうか、、。それだけ、勝たなきゃならない理由があったんだろう。勝ちたかったんだろう。ここに立ちたかった中川君のためにも、、スタンドから応援してくれてる仲間のためにも、、、。そして、出る涙はそれこそ、京産大という厳しい学校でラグビーをやることを覚悟し、その代わりに誰よりも成長するんだと誓った自分への満足感もあるんだと思う。入学する前はすごく不安だったけど、この学校を選んで、このメンバーと一緒にラグビーをやって本当よかったと、、そう満足した涙なんだろう、、。そう僕はとらえました。

 

期待されて怪我で苦しんだ子もいました。期待以上に伸びた子もいました。本当に素晴らしい4年生たちだと思います。

OBとして本当に誇りに思います。他の大学の方にも言われます。京産のラグビーは心がある、、と。人の心なんて動かそうとおもっても動かせません。でも、こうやって京産ラグビーが人の心を動かすのは、純粋にそれこそひたむきにラグビーに取り組んでいるその結果が80分間のプレーに現れるからだと思います。よく頑張った自分がいる。だからこそ、、最後にコーチや監督に「よくやった、、。」といわれると、涙がとめどなくこぼれるんだと思います。

 

来年もたくさんの素晴らしい高校生が来てくれると聞きました。それこそ、代表クラスも何人か来てくれるようです。無名校らも花園に出れないけど強豪校からも、、。それこそ高校の時の主将の子が多いようです。もちろん、元木さんをはじめ、たくさんのスタッフの方がスカウティングをしてくれているおかげや学校のサポートのおかげではありますが、多分、今の選手たちがそれこそ鍛錬の上、強いチームになり、感動するチームを自然に創っている事実が、、高校生たちに「厳しいけど京産でやりたい」や「高校のときはレギュラーになれなかったけど、俺はもっと伸びる」そんな気持ちにさせて、京産志望を生んでくれるのだと思います。

 

そして、そんな高校生たちが、今の選手のように京産を選んでよかったとそう思えるような4年間にしてほしいと思います。

無駄な方向の努力は徒労に終わりますが、京産での努力は自信に繋がるんじゃないかと思います。

 

4年生の皆様、本当にお疲れ様でした。最高のチームでした。そして、これからの社会での活躍を心から祈願しております。

また、中川君の怪我の早期回復を心から祈っております。