あっという間に9月に入り、2020年も終盤に差し掛かりました。

 

3月末に退職してから5か月が経過し、そろそろ仕事をしたい気持ちにもなってきたので、資格予備校が無料で配信している行政書士の実務家の講演を、ひたすら聞いている毎日です。

 

今までは、試験に合格することばかり考えていたので、視野が狭くなりがちだったのですが、実務家の先生のお話は、多岐にわたり、とても興味深いです。

そして、皆さん、成功だけではなく、失敗や試行錯誤も繰り返して、事業を軌道に乗せていらっしゃるので、ダイナミックで明るく、たくましい方が多いですね。

 

すでに4つの講演を視聴したのですが、自分が開業する際に実際に参考になることが、たくさんお話に出ていたので、印象に残ったことを、忘れないように書き残しておきたいと思います。

 

4つの講演のうち、1つは、実務家ではなく、予備校の塾長と講師の講演でした。

実務で直接役に立つ内容ではありませんでしたが、塾長の言葉で印象に残ったものが1つありました。

「見えないものを見る力」が大切、ということ。

顧客が本当に欲しいものは、顧客には見えていないので、それを見つけて提供してあげることが大切だと。

あのスティーブ・ジョブスも、「顧客は商品を見せて初めて自分の欲しかったものがわかる」と言っていて、かのフォードも「顧客の要望通りに新商品を開発していたら、ものすごく早く走れる馬車を開発していただろう」と言っていたそうです。

確かに、アップルの製品って、自分では思いつかなかったけど、見せられると、「これ欲しかったんだよね!」となるような、そんな夢のある製品ばかりでしたよね。

塾長のお話は、相変わらず夢があり素敵でした。

 

残りの3つの講演は、実務家の方の講演でしたが、専門とされている分野は様々でした。

ただ、共通しておっしゃっていたのは、

 

・仕事は主に人からの紹介で獲得した。

・仕事は何でも受けてしまってはダメ。正当な理由があるときは断るべき。

・とにかく人とのつながりを大切に。

・行政書士会の支部会や、他士業との交流会で知り合った人に仕事を教えてもらったり、仕事を振ってもらったりした。

 

逆に意見が分かれたのは、

 

・事務所はどこでもOK。最初は自宅で良いのでは?

・事務所は大切。事務所を見て依頼する顧客も多い。事務所移転後売り上げが増えた。

 

・ホームページは良い仕事につながらない。問い合わせも一円でも安くという考えの人が多い。

・ホームページ経由で問い合わせがあり、新しい仕事につながった。

 

・書籍代は結構かかる。

・書籍はあまり買わない。都庁の手引書などを読んで対応することが多い。

 

仕事をどうやって獲得するのか、これは一番気になることですよね。

皆さん共通して、人からの紹介で仕事を獲得していました。

やはり最初は、同業者または他士業の方から、その方の専門外の仕事を振ってもらうか、プライベートの知り合いから仕事をもらうか、という感じなのでしょうね。

そこからどうやって、仕事を広げてゆくのか、継続させてゆくのか、今度はこの点が気になります。

 

次に、仕事を断ってもよい、ということも、みなさんおっしゃっていました。

正確には、正当な理由があれば断ってもよい、です。

行政書士法では、原則として依頼は断ってはいけないと規定されているからです。

無理な依頼をしてきたり、非常識な時間に会いたいと言ってくるような依頼者は、結局お金を払ってくれなかったりなど、トラブルになることが多いので、新人だからといって、すべてを受ける必要はないと、複数の方がきっぱりとおっしゃっています。

当たり前のことのようにも思えますが、開業直後の仕事のないときだったら、受けてしまうと思います。勇気が出る素晴らしいアドバイスです。

 

「人とのつながりが大切」というのは、仕事獲得という点と、仕事継続・完遂という点と、個人事業主の孤独感という3つの点からのアドバイスでした。

先に書いたように、仕事は人からの紹介で来ることが多いようです。

そして、紹介してもらった仕事を進める段階でも、新人のうちはわからないことだらけなので、先輩方に聞きながらなんとかやり遂げるということも多々あるようです。

先輩の事務所に一定期間お世話になって、勉強させていただくということもあるようです。

また、不測の事態が起きて、受任した仕事を急にできなくなった時に、受け皿となってくれる仲間も必要。

そして、個人事業主は常に一人なので、孤独です。同業の仲間がいれば、仕事の苦労や喜びを分かち合うことができ、精神的に楽になると、みなさんおっしゃっていました。

 

交流会については、同業や他士業にとどまらず、もっとオープンな異業種交流会に積極的に参加されていた方もいらっしゃいましたが、長くは続かず、現在は辞めていらっしゃるようです。

異業種の方との交流によって、良い刺激をもらえたり、新しい事業のアイデアが浮かんだり、新しいビジネスパートナー候補と出会えたりする可能性もありますが、それが仕事につながることは、そんなに多くはないようです。

同業の支部会や、同じ地域の他士業との交流会の方が、深く長く付き合える関係が築けるのだろうと感じました。

 

事務所については、何を専門にするかで、考え方が変わるように思えます。

(特に不動産業などの)社長さんを相手にする仕事だと、どんな事務所かは、とても大事だそうです。そちらに伺いますと言っても、ほぼ必ず先方が事務所を見にいらっしゃるそうです。

ですが、外国人の方が相手の場合は、ちゃんと住所地で暮らしているかの確認なども兼ねて、相手の自宅を訪問することがほとんどですし、風営関係の申請は、お店に訪問するのが一般的なので、先方がこちらの事務所に来ることはなく、事務所はどこでも構わないようです。

また、別の実務家の方の場合は、ノマドワーカーのように事務所を構えずに仕事を行う顧客が多いので、相手先に伺うというスタイルが成り立たないそうです。

その方は全国展開の貸し会議室の会社と契約して、常に会議室を全国に確保していて、その中から相手の出やすい場所を選んでもらって、そこで会うというスタイルで自宅開業されている方もいらっしゃいました。

 

ホームページに関しては、力を入れれば、集客につながる場合もあるのでは?という印象を持ちました。

実務家の方もおっしゃっていましたが、ホームページ経由で問い合わせをする人は、価格しか見ていないと。

確かにそうですよね。自分もお掃除代行サービスなど、少しでも安くという思いで、ネットで効率よく安い業者を探したりします。

そんな中で、安さでは他に負けるけど、魅力的なサービスを偶然見つけてしまうと、そちらにお願いすることもある。

集客できている方のホームページを確認したところ、やはりコンテンツが充実していて、サービスの特徴もとてもわかりやすく、魅力的なホームページになっていました。

今時ホームページがないのも、不便なので、一応開設するという程度に割り切るのか、集客につなげるべくホームページ運営に力を注ぐのか、どちらかに決めるべきだと思いました。

 

書籍についても、専門業務によって事情が違うように感じました。

専門書が多く、購入するとなると高額になりそうですが、これは商売道具なので必要な投資ですね。

 

実務家のお話を聞いていくうちに、早く登録して、支部の講習会に参加したい、交流会にも行きたいという気持ちが湧いてきましたが、この状況だと、未だそういうイベントは開催されていないと思います。

 

早くコロナが終息して、自由に人と会って、繋がりを作れる日常を取り戻したい。

それとも、それを待っていても、ただ時間が過ぎてゆくだけなのだろうか?

開業いつにするべきなのか、なかなか具体的な目標が定まりません。