前回のブックレビューに続いて、今回も岡本先生の本をご紹介します。

 

私が茶道を習い始めて現在23年目。

岡本先生がこの本に掲載されている記事を連載し始めたころの茶道歴とほぼ同じです。

この本を読むと、普段の稽古だけでは見えてこない茶道の奥深さを知ることができます。

それは点前の稽古を通じて茶人が考えるべき哲学や文化全般にかかわることです。

 

それは、次の言葉に集約されていると思います。

 

茶道習得は、帛紗捌きや足捌きなどの基礎を習得し、それら基礎の上に、さらに高度な基礎を習得し、茶道的な世界観を構築することが眼目であろう。その世界観には、師弟関係の内面性、心入れの般化、さらには先人達の旧い価値観の継承などが含まれ、それらが侘びの美観・世界観に統合される。(中略)虚心に学ぶことがもっとも大きな実をもたらすのである。

 

中でも難しいと思うのは、先人達の旧い価値観の継承ではないかと思います。

これは、無形であるがゆえに、継承しようという強い意志がなければあっという間に失われてしまいます。

そのことを毎月御宗家の稽古に伺うたびに痛感します。

すでに私の中では失われた、というか、親などから継承されていない美観が、ここにいる人たちにはしっかりと根づいていると思うのです。それをこのまたとない場所で、しっかりと身につけたいと思っています。そのことが、何年も経った後、自分の人生に大きな意味をもってくるという予感がしています。