汚点紫〜その後 | Kenichiのブログ

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今回の文章は、他の会員制SNSに書いた日記を、公開向けに少し手直しして転載してみました。

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汚点紫……「しみむらさき」と読みます。
僕の日記でも何度か書かせていただいた、たいへん個性的な町家カフェ(?) でした。
僕らのお気に入りの場所の一つ。
去年の日記からも少し引用しておきます。
このときは、東北からやってきたばかりの友だちと、三人で訪ねています。

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汚点紫……僕らが訪ねるのは、もう四回目くらいになるでしょうかー。
町家カフェですが、青蓮院近くのオシャレな店とは違って、小汚い、入るのに勇気が要る店。
あまり愛想もよくないアーティスト氏がやっていて、滅多にお客さんも見かけません。
今回もやっぱり僕らだけでした。
それどころか店主も居らず、手伝いの女の子が手持ちぶさたげ~。
靴を脱いで上がり、いつもの黒い鯉のぼりの前のちゃぶ台に陣取ります。
みちのく姫君は、なんかここも、たいそう気に入ってくれたようでした。
僕らと感性が近いみたいですね(笑)

店主のアーティスト氏も、テレビのNHK大河ドラマの始まりに合わせて、戻ってきました。
「お客さんは敵ではないけど、神様でもない」という張り紙があることは以前も書きましたよね。
この店主、これまであまり話しかけて来たりはしない方でした。
それが今日は大河ドラマが終わると、いろいろ僕らと話が弾むことになりました。
四回目の来店でようやく認知されたのか、単に彼の機嫌が良かったのか…。
ひょっとすると、みちのく姫君Kさんがタイプだったのかも~。
彼は空缶アートだけではなく、かなりアナーキーなロックバンドもやっているとかー。
さっそくパートナーがタブレットのYouTubeから京大西部講堂での映像を探し出して来て、三人で黒鯉のぼり前で鑑賞。
店長は般若の面をかぶって和太鼓を叩きまくり、その前では何故かSMショーもどきが展開中~!
かなり不思議な映像世界でした。
それを最後まで聴いてた僕らに気を良くしてくれたのか、店長は大音量で店内に、お気に入りの反原発ソングをかけてくれましたっけ~。

そんな我らの桃源郷「汚点紫」ですが、実は家主から年内の立ち退きを迫られていて、大ピンチなのです。
(以下略)

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この日記で、立ち退き話が持ち上がっていることを紹介しましたが、結局去年11月に閉店となってしまいました。
残念なことです。

のちにその近所の町家ブティックで、事情を聞く機会がありました。
そのブティックも、同じ大家さんから店を借りてたのです。
大家さんサイドとしては、契約時に飲食物提供の話はなかったはず~という認識だったらしい…。
飲食物を出す店舗だと、固定資産税の額が変わってくるらしいんですね。
それでは「汚点紫」側は、裁判に持ち込まれたら勝ち目もなかったのかも知れません。

…とまあ、それはさておき、店主のアーティスト銀路さんはその後どうなったのか…。
先日、一乗寺の小さなライブカフェ「のん」で、彼も含めた何人かの歌とトークのイベントがあるというので、行ってきました。
以前も少し書きましたが、彼はなかなかワイルドなミュージシャンでもあります。

参考までに、これは「色霊」というグループに居たときの、ちょっとアブナイ映像です。
京大西部講堂で『般若心経』なる作品を披露してます。
後半にカメラが寄る、和太鼓叩いてる男が、銀路さんです。

https://m.youtube.com/watch?v=eGTYklLQvp8

今回は、小さな店でギター弾き語りだから、かなり趣は違いました。
じゃあ参考にならないじゃないか~と即断しないで下さいね。
精神はちゃんと継承されていました。
いきなり「ゲスいラブソングを歌います…」と前置きして歌いだした銀路さん。
「俺のチ○コが~♪」
渋くガナるようなバラード調…。
あ、でもたしかにラブソングでしたよ。

その後には自分が部落差別を受けた経験を踏まえた歌も…。
岡林信康に『手紙』という歌がありました。
あの曲は差別を受けた本人を主語にしているものの、『手紙』とタイトルすることで、歌い手は一枚外側に居るスタンス。
でも銀路さんの曲はストレートに一人称…。
たまたま最近『破戒』について某SNSで書いていた僕には、ちょっと迫るものがありました。

イベントが終わってから少しお話しさせていただきましたが、また新しい場所を確保して、やはり京都市内で再起を図っているそうです。
それがカフェになるのか、何かのオフィスになるのかは、まだわからないとか~。
店の名前もわかりませんが、きっとまた「汚点紫」的なものが、再スタートする時はありそうですね。

それにしてもこのイベント、なかなかユニークな面々がとっかえひっかえ登場してきました。
まずこのイベント情報を知ったのは、Facebook友だちの楠木しんいちさんから~。
一応京都を拠点にしつつも、青春18きっぷなどで旅をしながら歌い続けている漂泊ミュージシャンです。
YouTubeにも、こんな綺麗な動画があったので、どうぞ~。

https://m.youtube.com/watch?v=mDQSC-vjpcY

実は僕も今回初めて、生で聴かせていただきました。
ちょっと不安定で優しい声が印象的な、漂泊歌人でした。

それ以外にも、今度の統一地方選に初めて立候補する市民運動家が、初々しくも熱のこもった演説をしたり~。
若い女性歌手はつ菜さんの、凛とした眼ぢからある歌いっぷり…。
石垣りんの詞を朗読する者、与謝野晶子『君死にたまふことなかれ』にメロディーを付けて歌う者……。

最後の曲もすごかった~!
「ガソリンとマッチをちょうだい~」と連呼するという、なかなかアブナイもの。
関西人なら「何に使うんや~!」とツッコミたくもなりますが、あとで調べたら、なぎら健壱の曲だったんですね。
ぜひここでも紹介したかったんですが、アブナ過ぎる内容のせいか、音源はみつかりませんでした。

最近かなりお疲れ気味だったパートナー。
久しぶりにライブ聴いて、少しは充電できたかな~。
帰りは近所のラーメン屋さんで、美味しい湯葉ラーメンと濃厚極太つけ麺(ほとんどウドンみたい!)
大将が最初に店出したのが、僕が三年前まで住んでたすぐ近所とわかり、マニアックに話が咲いたのは、意外な展開でした。
元々湯葉職人だったのが、ラーメン業界に裾野を広げたそうです。
まず湯葉職人なんて存在が居るのも、京都らしいけれど、そこからラーメン!

今夜いろんなチャンプルーを味わって、パートナーの新しい世界に幸がありますように……。
そして汚点紫の銀路さんにも…。

(一部部落差別に関する話題が出てきますが、本人も歌として公開しているので、ここでもほぼそのまま書いています。)