タイトルの文言は,ある医学専門家のSNS上でのつぶやきの一部である.
「新薬も同じですが、枠珍というのは特にそうで、打ったらその時点で負け」
これに続く言葉である.
私も25年間一人の医師にかかっていて,このことに気が付いたのが20年ぐらいかかった.別に,大病や難病にかかっていたわけではない.旧帝国大学医学部付属病院の心療内科に1年ぐらい通院して,自律神経失調症,軽症うつ病の薬物治療をやめようとしたら,「薬を飲み続けなければならない」と通院を引っ張るためのウソによって,クリニックへ転院させられ18年間も漫然診療が続いたのだ.
「はいっ,いつものように薬を出しておきます」
あのとき,半年ぐらい通えば,薬がいらなくなるのだと思っていたが,このような診療が18年間も続くとは.
医師も途中で次のように思ったはずである.
(この人,別に何にも悪くないのに,長期間薬を飲ませ続けてもよいのだろうか.まあ,診療報酬も払ってくれるし・・・)
私は,まさかこのように考えているなんて思わなかったが,18年目ぐらいに,軽症うつ病ブームの続編たる双極Ⅱ型障害ブームがきて,医師がこっそり処方薬をすり替えたころから,私の頭の中にタイトルのような考えが芽生え始めた.
「そもそも,双極Ⅱ型障害かもしれない人に,漫然と三環系抗うつ薬を18年も飲ませるだろうか」
このことについては,後に医師は「当時はそんなことは分かっていなかった」と言い訳をした.自分の不勉強やまずい診療を周囲のせいにする.だったら,何の社会的支障もないのに同じ薬を漫然と飲ませることはないだろう.なぜ,徐々に減薬するとか,もっと早く手を引かなかったのか,などと問い詰めると,普段は冷静に対応していた医師がぶっきらぼうな言葉でどなりはじめた.それまで,こんな大人を見たことがなかった.
「この人は,質の悪い悪ガキのようなことをいうな.こんな悪だったとは」
診察を受ける医師の心の中にかなり暗い闇を見ることは強烈なストレスだった.こんな医師から早く離れた方がいよいと考えるのが普通だが,セカンドオピニオンなどで診察を受けた他の医師からは「長く診ている医師と相談しながら治療した方がよい」というのである.まったくでたらめな診断や治療がはっきりした今となっては,医師たちの紳士協定だったようだ.
私も,いろいろな邪悪な人間をみてきたはずだが,やはり医師よりも悪いやつなんていない.たまたま,悪い医師にあたったのでもなく,やはり医師たちの闇は深い.