劇団フェルマータ、十周年記念公演『残響』を終えてから約1ヶ月経ちました。
今回あたか役を務めさせていただきました小澤と申します。
観に来てくださった方もそうでない方も、本当にありがとうございました。

私は本公演がフェルマータでの初公演でした。
前回、前々回はむしろ観客側だったのですが、その当時自分が舞台に立つとは思っていませんでした。
劇団の皆様にはご迷惑をかけることしきりで…
皆様、本当にありがとうございました。

稽古当初、私はあたかが掴めずに非常に苦労していました。
あたかは私などとは生きてきた背景が違いましたから。
彼の苦悩やその辛さを理解した上で、舞台上のあたかへつなげていくーーひたすらその思いで稽古に臨んでいたのですが、まぁ上手くいかないのなんのと。
今にして思えば、私は「あたかの設定」を自分にプログラムすることしか頭にありませんでした。
なんとも頭でっかち。
当然稽古も上手くいかず…こんなことで、あたかを演じられるだろうかと、不安で仕方なかったことを覚えています。
 
しかし稽古を重ねていく中で、段々とあたかのことがわかってきました。
そしてその内に、自分の中で生きたあたかが少しずつですが見えるようになりました。
いえいえ、オカルトではなく……

あたかは生きているーー
そう思えるようになりました。
あたかの過去や未来。脚本には書かれていないあたかの行動や発言。そういったものへ思いを馳せるようになりました。
その頃からですね。寝ても覚めても、あたか、あたか、と。
まるで恋する乙女のようになりました。笑

そして同時に、
「あたかともっと仲良くなりたい。あたかという人物を皆に知ってほしい」
「私が劇場で皆さんと「あたか」を会わせてみせる」
そんな気持ちで演じるようになりました。

観てくださった方、あたかには会えましたでしょうか?
私の技術の至らぬところは多分にあったと思いますが…
もし皆さんがあたかに会えたのでしたら、これ以上の喜びはありません。

劇中、彼は過去を知って少し変わり、未来へと繋げていきました。
彼の心境の変化を通じて、観てくださった方にほんの少しでも伝わるものがありましたら幸いです。

辛いこと、悲しいことは本当に世の中溢れんばかりでなくなりません。
だからこそ、最後には「めでたしめでたしだ。」と笑えたらいいな、なんて思っています。

長くなってしまいました。
改めてではありますが、皆様、本当にありがとうございました。