夫の49日が終わり、クリニック閉院の作業、手続き終盤の頃のある日、クリニックの顧問税理士とその上司の方二人が自宅に訪れた。
夫の位牌に手を合わせお線香を立ててくれた。
そして、顧問税理士の方が口を開いた。
「先生が亡くなられて、奥様はまだ心の整理がついていないと思いますが、遺産相続手続きについて、何方かに依頼されていますか?」
私 「いいえ。毎日バタバタとしていて‥」
これって‥営業を兼ねて来たのかな?←心の声
顧問税理士「では、相続について私どもに任せてもらえませんか?」
ビンゴ!←心の声
私「はい。お願いします。」
クリニック開業時からずっと顧問税理士をこの会計事務所に依頼していたので、話は早い。
また、この日から、委任状をいくつか書かされて、あの書類この書類と集めるように言われ、夫の医療費やクリニックの事務書類や保険等の書類‥もうあれこれ書類の山積み(ほぼ散乱状態)の中から探すのが大変だった‥。
毎日毎日いろんな書類などが送られてくる。
そして、私の知らなかった夫の生命保険が二口もあった。
保険会社のグイグイ攻めてくる営業が大キライだと言う夫は保険には見向きもしなかった。
が、開業時、顧問税理士から保険は入っていたほうがいいと言われ、その時初めて保険に入る手続きをした。
私が把握しているのはそれくらいであったが。
夫は医師会の保険にいつの間にか加入していたのだった。
「今は大変だけど僕が死んだらお金のことは大丈夫だから‥」
療養中に夫が言っていた言葉を思い出す‥。
それを聞いた時もそんなこと言わないで!って思ってたし、こうして夫が家族にお金を残すことをしていたという現実に、夫の家族思いなところ、そしてその夫が居ない今の悲しさ、悔しさ、寂しさが入り混じって、その私の把握していなかった夫の生命保険の書類を見て、泣き崩れてしまった。
お金じゃない!
夫に生きていてほしかった。
顧問税理士との打ち合わせは何度も続いた。
相手が何かを説明しているが、私の頭の中には全く入ってこない。
「お任せします」「はい、それでお願いします」
この二言ばかりの返事ぱかりしていたような気がする。
子供たちは4人全員未成年のため、書類に私が4人分代筆する。
相続税の支払い、顧問税理士への相続分の何パーセントかを支払う。
全て初めてのことで未だにちゃんと理解していない私。(情けない、、、)
そして、顧問税理士が、これからの子供たち4人の養育費、家族の生活費、などプランを立ててくれて、アドバイスをしてくれた。
これもまた頭半分機能していない状態で聞いていた。
これで無事に?相続の件は終った。
二度とやりたくないことだ。