抗がん剤は、病室(一人部屋)で行っていたが、放射線治療は、待ち合いに何人ものかの患者さんたちがいた。
日帰りで治療している人もいた。
そのような人たちは、外見から見ても、癌だということはわからない。
待ち合いでも、いろんな患者さんに声かけて話している。
また、夫よりも辛そうな患者さんもいた。
抗がん剤の点滴を支柱にぶら下げて、その支柱が、杖代わりになっている。
治療前も、待ち合いの空いた椅子に横たわっている。
なんとかしてあげたい。
声をかけてあげたい。
元看護師の血が騒ぐ。と表現したらよいのかわからないが‥。
また、放射線治療を受けるにあたり、患者、職員用のエレベーターを使わないといけない。
そこに、なんどか小児病棟から入ってくる男の子がいた。
まだ、4.5歳くらいだろう‥。
頭は丸坊主、顔色も良くないが、いつも一人でエレベーターに乗ってくる。
夫が言った
「あの子供でも頑張ってるんだから僕も頑張ろう」と。
エレベーターではそのうち顔見知りになって挨拶も交わすようになった。
いつもニコニコ笑顔で可愛らしかった。
が、ある日から、その子供はエレベーターに乗ってこなくなった‥。
夫と私は少し寂しい気持ちになっていた。
そして、いよいよ夫は抗がん剤投薬の副作用がでてきた‥。
吐き気からはじまり、脱毛も‥。
夫も私も覚悟していたことだ。
慌てず対処した。
でも夫が、脱毛を気にしていたので、夫がトイレに行く時や、検査で病室に居ないときを見計らって、直ぐに枕に巻いてるタオルを交換し、コロコロ粘着テープで抜け毛を取ったりして、夫に抜け毛を見られないようにしていた。
段々と夫が衰弱しているのがわかった。
変わってあげたい‥
続く‥