夫の癌治療が開始された。


抗がん剤、放射線治療だ。


夫はメールで朝早くに

「今日から抗がん剤治療が始まる‥〇〇(私の名前)、早く来てほしい」

夫の不安感が伝わってきた。


「おはよう。 今日早めに行くね!」

私も不安だが、明るく返信した。


「ありがとう。 ごめんね」

夫のメール。


一日この言葉を何回も言う夫。

ありがとう。

ごめんね。


当たり前のことしてるだけで、私がやりたくてやってるのに‥。


そして、初めての抗がん剤投薬の準備が始まった。夫は神経質に、自分の腕を出して、この血管に挿してと。

確かに抗がん剤が血管を突き破り漏れたら大変なことだ。


そして、無事に血管に入り、抗がん剤投薬が始まった。

夫はじーっとその抗がん剤が入っていくのを見たり、滴下を見たりと落ち着かない。

私はそんな夫に

「抗がん剤がうまく効くといいね。」

と言った。

夫は 

「うん」と頷いた。


やっと、夫が寝て、私は自動販売機で飲み物を買いに行った。

その時に、年配の看護師さんが私に話しかけてきた。

「大変でしょう」

私、「えっ? まぁ‥」

その看護師さんは続けて話し出す。

「ここに入院する人はどこの病院からも断られた末期の人ばかりなのよ。 奥さん、これからもっと大変になるわよ。」


この看護師さんは突然私に何を言っているんだろ。


私は会釈して足早に病室へ向かった。


なんか、腹正しく、夫は希望捨てていない。

他の患者さんだって、きっとそうだ。


失礼な看護師もいるんだな。



そして、抗がん剤、放射線治療中は、子供たちは、身体の安全のために連れてこないで。と夫から言われていた。

子供たちは、お父さんと会えない寂しさもあったが、折り紙で鶴をを折ったり、また、メール(LINE)で、夫に一番懐いてた愛犬の写メを送ったりと子供ながらに、父親を喜ばせようと頑張っていたように思う。



続く‥




 

 



 

 



 

 



 

 

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