入院して、いろんな検査を受け終わり、初めての助教授によるムンテラがあった。


あれは夕方頃、その日にムンテラがあることは知らされておらず、心の準備もないまま、別室へと案内された。

そこには、患部と思われる画像が映し出されていた。


助教授は、夫は医師、私は看護師ということで、鍛刀突入に話し出した。

初診で言われた通り、夫の癌はステージ4。末期癌だということ。


抗がん剤の治療効果はほぼ、1%。

助教授は、海外のデータなども調べまくってくれたようだ。


そして‥その癌は、頸動脈を巻き付けている。

そのこともあり、オペは不可能であること。


また、動脈が癌に圧迫され、いつ破裂するかわからない。

動脈が破裂した場合、さすがに私たちも手の施しようがない。

助教授は私の方に視線を送り、「そういうことが、起こることを覚悟しておいてください。」と。


頭が真っ白になった。

なに?

動脈を癌が巻き込んでる?

隣で聞いてる夫の気持ちを考えると辛い。辛すぎる。


そして、助教授は話を続ける。

「お子様たちに、全てお話しますか?

最期まで隠しておきますか?」


胸にグサッときた。

こんなことまで今、答えないといけないのか‥。


夫と顔を見合わせた。


夫が答えた。

「子供たちには言わないようにします。」

夫の出した答えに私は戸惑った。


そして、続けて夫は、助教授にメモ書きで伝える。


「1%の可能性にわたしはかけたい。 抗がん剤と放射線治療を受けさせてください」


助教授は、「先生ならお分かりと思いますが、抗がん剤治療することで寿命がもっと縮む可能性のほうが大きいですよ」

夫は頷く。

覚悟を決めた表情だった。

長いムンテラが終わり、病室へ戻った。


もう面会時間も終わりの時間にまでなっていた。

疲れ切った夫の手を握った。

私たちは、夫が入院してからはいつも手を握り合っていた。


「ごめんね」

夫がまた口パクで言う。

「辛い話を聞かされることになってごめんね」


「あなたのほうが辛かったでしょう」


二人で泣いた。


私の携帯電話のメールはずっとひっきりなしに鳴っていた。

分かってる。

子供たちからだ。


今日は、私の誕生日。

きっと子供たちは、誕生日をしようと準備して待ってくれてるんだ。


面会時間一時間ほど過ぎて、夫が寝付いたのを見届けて病室を後にした。


子供たちに電話をした。

「お母さん!早く〜!誕生日するんだよ〜!」


私は自宅へ向かう途中、コンビニの駐車場に車を停めて、号泣した。涙が止まらない‥ 早く帰ってあげないと、と思うも、子供たちの前では泣けない‥。


「頑張れわたし!」

思いっきり泣いたあとは、そう自分に言い聞かせ、子供たちの待つ自宅へと向かった。



続く‥



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