こんにちは、杉原佳子です。
東京は、そろそろ桜吹雪の舞う時期になってきました。
先日も、桜並木を歩いていると、風が吹き始め、
花びらが、ふわふわ~っと飛んでいきました。
下を歩く、子どもたちも、お年を召した方も、
みんな何か、幸せそうな表情をしていました。
桜って、不思議ですね。
さて、桜が散り終わらないうちに、もう一つの桜色の思い出を。
2年前の3月は、東日本大震災が起こったとき。
あの時期、多くの人が思ったように、私も、
こんなとき、いったい自分は何ができるんだろう、
そんなことを考える日々が続きました。
多くの人が現地に赴き、ボランティアに参加していました。
そんなとき、私の身近には、自分の娘を始め、
たくさんの小学生たちの姿がありました。
地震後も、普通に登校し、普通に日常生活を送っているけれど、
心の中は、どんな気持ちなんだろう…。
そこで私は学校に出向き、
養護の先生やスクールカウンセラーの先生にお話を伺いました。
すると、やはり地震後、保健室に来る子が増えているとのこと、
そして子どもたちを教えてくれている先生たちも、当然、
心が揺れていることを感じました。
友人からも、テレビから流れる津波の映像を見ると、
子どもが泣き出しちゃうの、という話も聞きました。
いつもの春休みなら、旅行や遠出をする子どもたちも、
この春休みは、家で過ごすことが多かったようです。
私の近くにいる東京の子どもたちも、不安で心が揺れている…。
まだ余震も続く中、自分自身も不安を感じながらでしたが、
その子どもたちに、ひとときでも楽しい時間を過ごしてもらいたい、
と急きょ思い立ち、4月のはじめ、自宅を開放して、
子どもたちが自由に創作を楽しめるアトリエを開きました。
案内の手紙をポストインしながら、
友達にも、アトリエの内容の相談をしながら、
果たしてみんな来てくれるかしら、と思っていましたが、
当日は、小さな自宅の一角に、たくさんの子どもたちが、
遊びに来てくれて、大盛況となりました。
嬉しかった~。
たくさんの材料、たくさんの色、そしてたくさんの友達と一緒に、
自由に、なんでも作っていいよ、という環境の中で、
幼い子どもたちはお母さんと一緒に、
高学年のお姉さんたちは、女子会的なおしゃべりをしながら、
ときに高学年のお兄さんの作品に見とれる男の子もいたりして…。
あっという間の数日間でした。
実はこの時期はちょうど、庭の桜が満開に。
桜吹雪が舞い始めた頃でした。
そしてアトリエが終わる最終日の最後のころ、
名残惜しく、なかな帰らない子どもたちは、庭に出て、
桜吹雪を体中に受けとめながら、きゃっきゃと声をあげて、
桜の花びらとりごっこをしていました。
楽しそうな、嬉しそうな、笑顔がはじけていました。
地震の後、ぎゅっと固まっていた子どもたちの気持ちが、
桜色のように柔らかくなり、桜吹雪と共に、
不安な気持ちがふわっと飛んでいったかのようなひと時でした。
桜吹雪って、やっぱり不思議。
人の心を開放していくれる、そんな役目もあるようです。
このアトリエ体験は、今の私の活動の原点になっている気がします。
子どもだけでなく、大人だって同じ。
悲しみや苦しみ、我慢や試練などが続き、心がギュッと固くなったとき、
私たちの心の中のコップの許容量は、いっぱいいっぱいに。
そんなときに、コップの中にたまった気持ちをアウトプットすることで、
気持ちが解けたり、心に余白ができたりして、
やっと別の気持ちが入る余地も生まれてくるのでしょう。
そしてその空きスペースがあればこそ、
楽しい、嬉しい、幸せ、ワクワクな気分など、
自分の心を引き上げてくれる、
そんな気持ちが入ってこれるようです。
これからも、自由な創作を通して、気持ちを循環させる、
そんなお手伝いができればいいな、と思っています。
満開の桜の樹の影が、白の建物に映り、とてもきれいだった風景。