果樹担当の農業改良普及員として働いていた独身の頃、最後の任地でとてもお世話になった兵庫県・香住の梨農家さんから、立派な梨が届きました。
毎年この時期になると、兵庫県で育成された新品種「なしおとめ」の一番立派なものを送ってくださいます。
この梨は、兵庫県の農業試験場で、研究員さんがいろんな品種を交雑・育成し、それを選抜し、長い年月をかけて作られた品種。
ありがたいことに、品種登録の際には、私も調査に関わらせてもらいました。
それだけに、思い入れのある品種でもあります。
送られてきた梨には、奥様の手書きのお手紙が添えられていて、
「インスタでご活躍の様子を拝見しております。
とても美しくなられて自身に満ちあふれておられ、普及員の時が嘘みたいです。」
と書かれていました。
普及員の頃は、いくら勉強しても、そもそも現場経験が少ないので、何十年も農業一筋でやってこられている農家の方には絶対に勝てないと思っていました。
勝ち負けの話ではないのですが、最初から諦めていたのです。
当時から文章を書くのが好きだった私は、果樹栽培ニュースレターを発行して農家さんに配布するなど、好きなことは誰に言われなくても自分から進んで企画して実行するけど、気の進まないことになると、とりあえず最低限決められたことはやるけど、やっつけ仕事のようなところがありました。
だから当時は、週末になると様々な自己啓発のセミナーやセラピー、スピリチュアル系のセッション、そして社交ダンスのレッスンに通い、こっちが本当の自分で、普及員は仮の姿くらいに思っていました。
そして、この仮の姿をリセットしたいと思って、それを結婚・退職・引越しという形で現実化させたのですね・・・
あのまま普及員を続けていても、そのうち課長になって、所長になって、退職・・・
将来の道筋が見えているからおもしろくないと思っていたところもありました。
そんな、型にはまりたくない思考が積もり積もった結果、現実としては、管理職という責任を負う立場から逃げ出したということになります。
でも、いくら回避しようとしても、それが必要なことならば、必ずまた目の前に現れるのですよね。
そのために、今また、型にはまることをやることになったのです。
久し振りに、過去を振り返りました。
ここで大切なのは、全て自分の思考が現実化した結果だと認識し、望む未来を現実化させる方向に思考と行動を転換させること。
過去を悔やんでも仕方ないし、それ以上に大切なのは、これから自分がどうなりたいのか、どうしたいのかを考えること。
そして、それにふさわしい行動をし、しっかりエネルギーを出していくこと。
今の自分の周囲の状況は自分が思考した結果。
そうやって自分が現実化させたものだから、逆に、気に入らないものは自分の手で変えることもできるのです。
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