トランプ大統領のTwitterのフォロワーとして、彼のTweetを定期的にチェックしています。

 

先日も、米中貿易戦争回避に向けた交渉協議の行方について、新聞やウェブメディアによる米国の政策の展望や見立てを読んでいたところ、トランプ大統領がTwitterで

 

”We have lost 500 Billion Dollars a year, for many years on Crazy Trade with China.NO MORE!” 

 

Tweetした投稿が流れてきたのを確認したと思ったら、その後に怒涛のような投稿が続きました。

 

そのTwitterを追いかけていくと、どうやら交渉協議は決裂して、米国が中国製品に対して更なる関税を課すことをトランプ大統領は決断したらしいと理解できました。

 

これって、考えてみればすごいことで、米中貿易戦争が収束するどころか、本格化していく歴史的瞬間に立ち会ったかもしれないわけです。

 

SNSがなければ、何時間も遅れて、しかも、本人の肉声(文字?)ではなく、編集された記事としてもたらされていたはずで、そんな価値ある情報をリアルタイムで受信し、世界が変わる瞬間を垣間見たわけです。

 

もちろん、トランプ大統領の貿易理論なんて怪しいもので、このTweetの後も、関税収入によって得られる利益を殊更強調しているだけで、これによって失われる消費者の利益を度外視していることは問題だと思いました(とはいえ、好景気に沸く米国国民にとっては海外製品の多少の値上がりは許容範囲なのかもしれませんが)。

 

当然のことながら、SNSを通じて直接情報のやり取り、コミュニケーションが可能な現代にあっては、相手の言葉を正確に理解し、あるいは、吟味する読解能力(リテラシー)が必要なことはもちろんなのですが、少なくとも、そこには余計な思想や意図、思惑などが絡んで、元来の文脈から大きく離れた情報に編集されるリスクはありません。

 

トランプ大統領に対しては、記者会見の数が少ないと指摘するマスメディアも多いし、また、マスメディアの情報を端からフェイクニュースとして切り捨てる姿勢が問題視されることもしばしばなのですが、日本に住んでいるしがない小役人のような私でさえも、世界経済を変えうるような情報に対して、その一次情報に容易にアクセス可能な形にした、「情報の民主化」という点では、少なからず功績があるような気がします。

 

 

 

 

トランプ大統領とマスメディアとの場外乱闘を、こういう文脈で見ていくと、生産企業と消費者との間に入って、マージンを取って儲けていた卸売業者や小売業者が、インターネットによって直接取引が可能となり、中間業者として持っていた優位性がなくなっていく構図にそっくりです。

 

米国でも、新聞を発刊する企業は倒産が相次ぎ、TV番組についても、動画見放題か、コンテンツに応じた課金(Pay per view)が主流になってきて、マスメディアの存在意義が問われています。

 

P2P(個人対個人)が主流になっていく中で、どの部分に付加価値を付けて、情報やコンテンツを買ってもらうのか。

 

ソーシャル・メディアは情報の価値も変えつつあります。