今年はガンダム40周年ということで、各種イベントや企業コラボが相次いでいます。
ガンダムとともに少年時代を過ごし、青年時代に学び、そして社会人になっても引き続きハマっている「ガンダムおじさん」としては、この現象を嬉しく思いつつも、やや違和感を感じてしまうのです。
『機動戦士ガンダム』という作品は、「ニュータイプ」という新たな概念を創り出した優れた思想的作品だとは思うのですが、その思想が顧みられることが少なくなっている気がします。
1988年に公開された映画作品『逆襲のシャア』において、地球へのアクシズ落としを敢行しようとするシャアに対して吐いた台詞が記憶に蘇ります。
「世直しのことを知らないんだな。革命はいつもインテリが始めるが夢みたいな目標をもってやるから、いつも過激なことしかやらない。
しかし、革命の後では気高い革命の心だって官僚主義と大衆に呑み込まれていくから、インテリはそれを嫌って世間からも政治からも身を引いて世捨て人になる。 だったら・・・」
ガンダムという作品も、いつしかその思想性は剥奪され、大衆主義と商業主義に呑み込まれたエンタテインメント作品に成り下がる日がくるかもしれません。
さて、その「夢みたいな目標を掲げた革命」を起こそうとしたシャア・アズナブルなんですが、私自身が30代になるまで、その動機やモチベーションを明確に理解することができませんでした。
『機動戦士Zガンダム』の最終話で行方不明となり、『逆襲のシャア』という作品までの間に約6年間のタイムラグがあるのですが、この間に、シャアが何を見つめ、何を考えたのかを公式に伝える物語は存在しません。
いわば、この6年間はミッシング・リンクであるがゆえに、多くのクリエイターが自由な想像力を活かして、様々な媒体で物語を展開しています。
そういったクリエイターとしては、Ark Performanceさんあたりが、緻密な時代考証をしながら、面白い物語を展開しています。
ただ、そのArk Performanceさんが出した結論(仮説)というのが、「抱いていた理想を諦めた」というのは、なんとなく残念です。
残念なんですが、一方で、その諦観を仕方がないものとして、冷静に受け止める自分という存在がいます。
若かりし頃は許容できなかったことを、40歳を過ぎて許容できるということは「成長」なのか「衰退」なのか。
40年ともに歩み続けている作品だからこそ、自分の変化も感じることができます。
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