首飾りが本来の持ち主に返せて良かった。
そして、長年の心のわだかまりが解け、少し軽くなった。
セロは、感慨にふけっていた。
それなのに彼は突然現れた。
シセロだ。
彼も、全く空気を読まない。
そもそも、そんな事を気にもしない。
「クリスマスの奇跡だって?
それじゃあ、シセロは聞こえし者になる。
奇跡が起きるんだ。
ひひひひ・・・
シセロは聞こえし者だ」
そう言いながら、ぴょんぴょん飛び跳ね、踊りまくっている。
シセロはいつも通りのシセロだ。
セロがそう思いながら見ていたら、シセロが血まみれなのに気付いた。
まさか!?
子供達は無事か?
と驚いているとルナがやってきて、大丈夫だと言う顔をした。
ルナの話によると、プレゼントを配った後、大変だったらしい。
シセロは誰か殺そうと言い出し、セラーナはハチミツ酒を大量に飲んでいた。
「何故か、とても戦いたい気分ですわ。」
と、セラーナが真顔で言い出したのだ。
目が座っていて、怖かったらしい。
街中で何かあっては困るので、ルナはシセロとセラーナを連れだした。
そして、近くの洞窟で山賊退治をしてきたのだ。
これは正式な依頼になっていた。
なので何も問題ないようだ。
夜中に、テンションMAXのあの2人に襲撃されては、山賊はひとたまりもなかっただろう。
セロは内心、山賊が少し気の毒になった。
シセロの返り血は、その時のものらしい。
ルナは、それよりセロの方は大丈夫なのかと聞いてきた。
キャンドルハース・ホールに入っていくセロは、まるで監獄に入れられる囚人のようだったと言われた。
あの時は、まさにそんな気分だったかもしれない。
セロはルナに、何があったのかを手短に話した。
話し終えるとセロは、
「これが、クリスマスの奇跡というやつなのか?」
と、ルナに聞いた。
ルナは少し考えた後、それは誠実で正直であろうとした、セロが起こした奇跡だと言われた。
そして、何かがそれに少し力を貸しただけだろうと。
ルナはプレゼントだと言って、小さな箱を差し出した。
セロが開けてみると、中には金の首飾りが入っていた。
つづく