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今、冬歌、という言葉を聞いて
思いだしたのが
シャロン(ROSSO『BIRD』)。
「サーンタクロースがー」
という歌いだしのこの歌の
多分季節は冬なのだろうと思います。
けれど
恐らくクリスマスソングではない、
そう思ってもいるのです。
ROSSOというバンドは
2001年、
元TMGEのチバユウスケ氏と
元BJCの照井利幸氏、
AFORTのMASATO氏によって結成されたバンドです。
この曲は翌年4月リリースされた『BIRD』という
アルバムに収録されています。
その時から、わたしはこの歌が好きでした。
その頃はまだ、耳の調子がおかしくなっておりませんでしたから
ごく普通に音楽を聴く、という日常があったのです。
『BIRD』、というアルバムの、
イメージを作っているのは
チバユウスケ氏の歌詞なのだろうと思います。
シュールでありつつも感情に訴える歌詞です。
抽象化された言葉であり
かつ
イメージを喚起する歌詞だと思います。
季節なら冬。
状況なら終焉の始まり。
けれどもそれは具体的な物語であるよりは
感情であり、気分であり、
ある種の陰影、色合いのようなものであって
決してロジカルに捕まえられるたぐいのものではないのです。
ですから強く惹かれつつも
謎を解くことはできない。
この曲には
ある種人間のような魅力がある、
そんな気がします。
わたしがROSSOのアルバムを聴いた理由は
TMGEが好きだったからその流れで、
という、一番ありがちなものでした。
TMGEを好きになったのは
当時親しかった人がTMGEを好きだったから。
教えてもらったことが
人生の価値を上げる、
そんなバンドがあるとしたら
TMGEは私にとってそんなバンドの一つでした。
その人は
ROSSOには余り興味はなかったようで
逆にわたしの方から
聴くことを勧めました。
「中古で安く買った」
その人はそう言って笑っていました。
今、ブログネタを書きながら、
あまりヴぉリームを上げずに(笑)
YOU TUBE で「シャロン」のライブverを聞いております。
この曲の、ギターの音色、響き、
ボーカルと絡み合って流れる様は
滑稽なほどに体調を崩してしまった
今のわたしでさえも
惹かれずにいられない、
感情に揺さぶりをかけ
感情の流れをそっくり持って行ってしまうような
強い響きを持っている、
そう感じます。
多分
この曲が、わたしにとって
最高の冬歌なのでしょう。
インクブラックの空、
冴える音、
透る外気、
歌われる世界の
収斂しつつ突き抜けていくような終末の感じが
冬という季節のもつ
終りに向かうイメージと一つになる気がするのです。