wild beads 02 apostropheとPEACH | feelsayo 2 

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猫を眺め 猫を被る日々。  
内心 ・・・ です。

大切に思っていた黒猫(♀)がいなくなったとき、

金属ビーズで石(…硝子かもしれません)をフレーミングしたものをいくつか、作りました。


画像は自分なりにつくった「apostrophe」と「PEACH」の一対。ともに、

静哉 氏のデザインになるものです。作り方は同氏の著作で紹介されています。


feel sayo 2 昭和的外猫日記-alteration_apostrophe


2002年の2月頃から2005年の8月11日まで

凡そ3年の間

毎日のように家を訪れていた虎猫(♂)がおりました。


その頃、

家の周りは野良猫激戦区になっておりました。


虎猫(♂)は自分より一回り大きい牡猫とも躊躇うことなく戦い

やすやすと勝利を収めていきました。

虎猫(♂)はほどなく、家の周りを自分の縄張りとして持つことに

成功したようでした。


彼は不敵な面構えで近所の庭や道を歩いておりました。

呼びかけると肩を怒らせて歩み寄り、

体ごとぶつけるようにして肩を擦りつけました。


彼は

「おまえは敵か?味方か?」と

問うような表情をしておりました。


やがて、彼はわたしのことを味方として認め、

庭に来て猫飯などを食すようになりました。

彼の頬付けは穏やかなものに変わりました。


虎猫(♂)は威儀を正して鳴き、猫飯を待ちます。

虎猫(♂)は猫飯を供されると、2、3口食します。

そして徐に立ち上がり、提供者に体を擦り寄せます。

彼は猫飯を食し、静かに立ち去ります。


そんな態度のせいか、彼は近所の猫好キたちの評判も悪くないようでした。



その年の梅雨時、黒猫(♀)が庭に迷い込んできました。

黒猫(♀)は生後2~3か月に見えました。


あちこちで、黒猫(♀)は大人猫たちに威嚇されたり、猫punchを浴びせられたりしておりました。

虎猫(♂)は黒猫(♀)が庭に来ると不快そうな戸惑ったような様子を見せました。

手を出すことはせず、距離を置き、様子を見ているようでした。


そんな生活の中、黒猫(♀)は、独り生きる術を身につけつつあるように見えました。

彼女は全く、人に親しむ様子を見せず、不貞腐れた様子で食事を待ち、

用心深い様子でそれを食しました。


そんな態度でしたが、小柄で整った顔立ちをしていたせいか、

彼女は近所の猫好キの間で、「可愛い猫」といわれておりました。



年が明けて2003年2月

虎猫(♂)と黒猫(♀)は番になったようでした。

かれらは、繁殖期が終わった後も、行動を共にしました。

彼らが寄り添って歩く姿が、毎日見かけられるようになりました。


猫飯を供されたとき、

虎猫(♂)は黒猫(♀)に先に食べさせてしまってから

残りを食すことを常としておりました。

そのせいもあり、

虎猫(♂)は、近所の猫好キの間で「良い猫」との評価を確立しました。


2005年、彼は病を得て弱り、

蕺の茂みの中に静かに蹲る事が多くなりました。


2005年8月11日、

夕方、雨の中を

彼は独り、隣家庭から生気にあふれた様子で現れました。

彼は台所の掃き出し窓に手を掛け、2足で立ち上がりました。

彼はその姿勢の侭、大きな声を上げ、敷居に鳴きました。


彼がそんな不作法な行動を取ったのは初めてのことでした。

彼は、勝手口で猫の正坐の姿勢をとり、

はっきりとした声で鳴き、静かに人を待つことを常としていたのです。


直ぐに猫飯が供され、彼はいつものように

彼の作法に従ってそれを食しました。

そして雨の中、約70cmの段差を飛び柵を潜り、

力強く隣家庭を走り、立ち去りました。


われわれが彼を見たのはそれが最後になりました。


その後、凡そ3か月、

黒猫(♀)は昼も夜も、虎猫(♂)とともに歩いた場所を、

独り、鳴きながら歩き回りました。

黒猫は勝手口で食事を摂る度、

隣家の方を見ながら悲しい声で鳴き続けました。

鳴き続け、鳴きつかれ、暫く後、

彼女は食事の続きを食し始めるのでした。


2005年12月ごろから、

徐々にその習慣は失われました。

彼女の、不貞腐れた不良娘のような態度と、

用心深い行動は陰を潜め、

少し子供に戻ったような甘えたような様子さえ見せるようになりました。


その後、次第に彼女は年相応の落ち着いた態度を摂るようになっていきました。

元のキャラクターより、やや穏やかになったようにも見受けられました。


彼女は、隣のベランダや屋根に行って寛ぐことをしなくなくなりました。

虎猫(♂)の在りし日に、屢、一緒に寝そべって寛いだ場所だったせいでしょうか。


2007年10月11日朝、

彼女はどこと無く上っ調子な様子に見えました。

彼女はお気に入りの木(勝手口の椿)で爪を研ごうとし、

…木を間違えました。


数時間後、

彼女は

一人では決して行くことがなくなっていた、隣の屋根に寝そべっておりました。

彼女は投げやりな様子で、毛繕いをしておりました。

わたしはなぜか、彼女に声を掛けることができませんでした。


われわれが彼女をみたのは、それが最後になりました。


feel sayo 2 昭和的外猫日記-chachahiei2004


彼らの行方は、杳として知れません。


feel sayo 2 昭和的外猫日記-a piece of beads