2009年10月3日(土)・下
午後7時15分
月明かりの庭は普段より明るかった。
雉虎猫は居間の壁の隅の発泡スチロール箱の上に
軽く丸まった。
猫被リが雉虎猫に近付いた。
雉虎猫は上体を起こし、鳴いた。
猫被リは雉虎猫を撫でた。
雉虎猫は首を下げ、目を細めた。
が
直ぐに坐り直し、発泡スチロール箱から犬走りに降りた。
7時16分
雉虎猫は居間の沓脱石に上がった。
雉虎猫はアルミサッシの桟に手を掛け、居間と寝室を覗きこんだ。
雉虎猫はアルミサッシの桟から手を下し、猫被リの前に立った。

雉虎猫は居間の掃き出し窓を見上げ、鳴き、猫被リを振り返り、鳴いた。
雉虎猫は一緒に居間に入りましょう、と提案しているようだった。
が、
それはこの時間、できない相談だった。
猫被リは雉虎猫の背中を撫で、宥めた。
7時19分
雉虎猫は再びアルミサッシの桟に手を掛け、立ちあがった。
今度は雉虎猫は、
簡易温室の屋根か、
居間の窓硝子の高い所を気にしている様子に見えた。
7時20分
雉虎猫は簡易温室の入口へ向かった。
雉虎猫は入り口で、入口の敷居に手を掛け、高く伸びあがった。
雉虎猫は簡易温室の上の方を気にしているようだった。
7時22分
雉虎猫は簡易温室の2階((下から2段目)入り口側)に飛び乗った。
簡易温室の2階(入り口側)には大きなアロエの鉢などが置かれていた。
雉虎猫はいつから、簡易温室の2階(下から2段目)
に飛び乗るつもりでいたのだろう。
先ず、
アルミサッシの桟に手を掛けて簡易温室の2階(下から2段目)眺め、
次いで
敷居に手を掛けて背伸びをして簡易温室の2階(下から2段目)眺め、
雉虎猫は十分に目測をし、飛び乗るべき隙間を見定めたのかもしれなかった。
7時22分
雉虎猫は簡易温室の二階(入り口側)の床の端で坐り直し、体勢を整えた。
雉虎猫は簡易温室の二階(入り口側)の天井に手をつけるような格好で、2足で立ち上がった。
雉虎猫は簡易温室の二階(入り口側)の壁際に坐り、辺りを見回した。
右側(壁側)を見、左側(簡易温室用段ボール箱が置かれている側)を見、
天井を見上げし、雉虎猫は興味深げにあちこち眺めまわした。
7時23分
雉虎猫は、簡易温室の二階(入り口側)から二階(段ボール箱側)に移った。
雉虎猫はアロエの鉢の手前の狭い隙間を用心深く通り、二階(段ボール箱側)に移った。
二階(段ボール箱側)には、簡易温室の日除け用シーツなどが置かれているだけだった。
雉虎猫はシーツの上に上がり、体の向きを変えた。
7時24分
雉虎猫は二階(入り口側)に戻り、二階の床の端に坐った。
雉虎猫はそこから、夜の庭を眺め、夜空を眺め、振り返って寝室を眺めした。
7時25分
雉虎猫はアロエの鉢の前の隙間を通り、
二階(段ボール箱側)に移った。
雉虎猫は日除け用シーツの上に坐り、辺りを眺めまわした。
7時28分
雉虎猫はアロエの鉢の前の隙間を通り、二階(入り口側)に戻った。
雉虎猫は二階の床の、アロエの鉢の前の狭い隙間に坐り、辺りを眺めた。
7時34分

雉虎猫は簡易温室の二階から地面に跳び下りた。
雉虎猫は居間の壁の隅に置かれた発泡スチロール箱の上に坐った。
雉虎猫は壁の高いところを一生懸命に見上げた。
7時35分
雉虎猫は居間の壁の隅に置かれた発泡スチロール箱の上で

香箱を作った。
やがて雉虎猫は段ボール箱を降り、庭を横切り
狭い家庭菜園に入って行った。
雉虎猫は暗がりの中で動き回っているようだった。
7時42分

明るい月が東の空高く上がっていた。
雉虎猫は庭を横切って猫被リの足許に近付き、軽く擦り寄った。
雉虎猫は何事か考える態で庭に坐った。
8時1分
雉虎猫は再び簡易温室に向かった。
雉虎猫は真直ぐに簡易温室の段ボール箱に向かった。
雉虎猫は段ボール箱には入らず、段ボール箱の蓋に上がった。

雉虎猫は、簡易温室の二階(入り口側)に両手を掛け、2足で立ち上がった。
そしてその侭、簡易温室の二階(入り口側)に上がった。

雉虎猫は簡易温室の二階に坐り、辺りを眺めまわした。
そして簡易温室の三階(段ボール箱側)の床に手を掛け、上がり込んだ。
雉虎猫は叱られた。
雉虎猫は猫被リ(ことsayo)に抱き抱えられ、
簡易温室の三階(段ボール箱側)から無理やりに外に出された。
猫被リに抱きあげられた侭、雉虎猫は叱られた。
雉虎猫は腕の中で踠がず暴れず、神妙な様子で目を逸らしていた。
猫被リは雉虎猫を地面に降ろした。
雉虎猫は速足で庭を立ち去った。
8時6分
雉虎猫は勝手口へ行った。
猫皿の水。

雉虎猫は猫皿の水を飲み終え、
辺りの物音などに注意を向けながら、あちこち見まわした。
8時7分
雉虎猫は勝手口階段の前を通り濡れ縁側へ歩いた。
雉虎猫は勝手口側と濡れ縁側との段差手前に坐り、
様子見をした。
8時8分
雉虎猫は段差を降り、門扉下の隙間を潜り抜けた。
雉虎猫は溝板に坐り、少しの間様子見をした。
通りを三叉路の方へ歩いて行った。
9時16分
雉虎猫は簡易温室の段ボール箱で丸くなっていた。
雉虎猫はよく眠っているようだった。
9時18分
雲が多くなった空に

月(月齢凡そ14.7)が見え隠れしていた。
附記
雉虎猫様簡易温室。
左側が寝床用段ボール箱。右側が出入り口。
左側3階立て、右側2階立て。
左側の3階に仕舞ってあった殺虫剤などを別の場所に片付けた。
2008年10月3日(金) 46日目
2008年10月3日(金) 秋宵一刻 priceless (雉虎猫・46)