2009年8月30日
雉虎猫は
庭の隅で虫(・・・御器噛。)を狩った。
仕留めた後、雉虎猫は庭石を足掛かりに、
瞬く間に灯篭に駆け上がった。
雉虎猫は灯篭の上を歩き、様子見をした。
雉虎猫は、庭石の後ろの草に、黒い芋虫が這うのを見た。
雉虎猫は灯篭を飛び下り、黒い敢然と黒い芋虫に立ち向かった。
が。
雉虎猫はみみず(蚯蚓)、かえる(蛙)…など、
柔らかく滑りのある標的が苦手だった。
雉虎猫は黒いいもむしを手で掴む気にはならなかった。
雉虎猫は諦めた。
雉虎猫は庭石の後ろに丸まった。
やがて、雉虎猫は庭石の後ろで眠った。
雉虎猫の右手は、回復しているように見えた。
曇り、穏やかな風が吹く朝のことだった。