Odyassey's bible 第一章 第一節
第一章 ~始まる歩み~
第一節 一歩
王都の郊外はいつも寂れていた。
少し前までは、旅の商人達が自慢の珍品を売っていたというのに。
今では魔物の姿さえ幾つか確認できる。
新暦996年に起こった戦争。
まだ一年も経っていないのに戦況は停戦という形で泥沼化している。
この光景はその突然の戦争によって至った結果であろう。
恐らくそれはこの国だけではない筈…。
男は此処、アルバニア共和国の古めかしい建物の玄関に立っていた。
名はアゼル・アシュヴィン。
記憶喪失で王都の近郊で目覚めた。
自分に関する事を殆ど覚えておらず、この名も自分で考えた。
無論、金は一切持っていないので、なんとかして稼がないとまずいと思ったアゼルは、王都を彷徨って此処に辿り着いた。
木でできた軽い扉を押し開けると、以外ときれいで広いロビーで、多くの旅人や冒険家が飲み食いしたり、話したりしている。
アゼルはその雰囲気にとても金を稼げる要素を感じなかった。
確かに町の人から訊いたんだが。
と、戸惑っているともう一人、困った様子の女の娘を見つける。
カウンターの人と話している様だが…。
少し気になって近付くと、以外にも彼女は自分に気付き、声を掛けて来た。
「あっ、あの、突然ですいません。仕事を受注してますか?」
紅い短髪で軽装の鎧の上に薄紫のローブを着て、腰には剣を携えていて、身長はアゼルよりも20cmくらい低く、少し幼なさが醸し出されている。
アゼルは何と返せばいいか困った。
アゼル「…あー、悪いんだが、俺はここ初めてなんだ。」
と、とりあえず言う。
「あっ、そうなんですか…。」
女の娘は再び困った表情で顎に手を添え、考え込むが、はっ、とすぐに女の娘が口を開く。
「えっ、初めて?」
アゼル「あっ、ああ。」
「でも、ここにいるって事は、仕事をする気があるんですよね?」
希望に満ちた目でアゼルを見つめる。
アゼル「ちょ、ちょっと待ってくれ、先にここが何なのか教えてくれないか?」
慌ててアゼルは一番訊きたい事を訊く。
「…聞いたことくらいないですか?ギルド って。」
アゼル「ギルド?」
「そう、様々な人が仕事を依頼してくる施設で、それを私達、旅人や冒険家がその依頼をこなしていくんです。因みに余談だけど一応一般の人も利用できますよ。」
アゼル「ほう…。」
「…で、私は今仕事を受注しようとしたんですけど…」
アゼル「…ですけど?」
「いまいち自信が無くって…失敗する訳には…」
女の娘は少し哀しそうな顔をする。
アゼル「…まぁ、誰でもいいなら協力するが。」
間髪入れずに女の娘が反応する。
「本当ですか!?助かったぁ…」
アゼル「と言うか見ず知らずの人間にそんな期待していいのか?」
「いえ…、まぁ、一人よりはマシなんで…それに、あなたなんとなく強そうですし。」
アゼル「…そんなんでいいのか…?」
「まぁ、とりあえず受注して来ますね。」
すると女の娘はまたカウンターの人と話始め、契約を終わらせる。
アゼル「ところで、君の名前は?」
「そういえば忘れてましたね。私はルティシア・ハーツです。長いんでルティ、でお願いします。」
アゼル「わかった。ルティ、よろしくな。」
ルティ「こちらこそ。」
アゼル「…して、仕事の内容は?」
それから仕事の説明、自己紹介などで時間は過ぎて行く。
そしてルティが手配した宿で一泊する事になる。
ルティ「出発は明朝4時。目的は魔物の討伐です。寝坊しないで下さいよ。」
アゼル「わかった…。」
…今思えば、まさか記憶喪失とは…。
記憶を失う前はどんな生活をしていたのだろうか…。
そんな事を考えながら、アゼルは瞼を閉じた。
第一節 一歩
王都の郊外はいつも寂れていた。
少し前までは、旅の商人達が自慢の珍品を売っていたというのに。
今では魔物の姿さえ幾つか確認できる。
新暦996年に起こった戦争。
まだ一年も経っていないのに戦況は停戦という形で泥沼化している。
この光景はその突然の戦争によって至った結果であろう。
恐らくそれはこの国だけではない筈…。
男は此処、アルバニア共和国の古めかしい建物の玄関に立っていた。
名はアゼル・アシュヴィン。
記憶喪失で王都の近郊で目覚めた。
自分に関する事を殆ど覚えておらず、この名も自分で考えた。
無論、金は一切持っていないので、なんとかして稼がないとまずいと思ったアゼルは、王都を彷徨って此処に辿り着いた。
木でできた軽い扉を押し開けると、以外ときれいで広いロビーで、多くの旅人や冒険家が飲み食いしたり、話したりしている。
アゼルはその雰囲気にとても金を稼げる要素を感じなかった。
確かに町の人から訊いたんだが。
と、戸惑っているともう一人、困った様子の女の娘を見つける。
カウンターの人と話している様だが…。
少し気になって近付くと、以外にも彼女は自分に気付き、声を掛けて来た。
「あっ、あの、突然ですいません。仕事を受注してますか?」
紅い短髪で軽装の鎧の上に薄紫のローブを着て、腰には剣を携えていて、身長はアゼルよりも20cmくらい低く、少し幼なさが醸し出されている。
アゼルは何と返せばいいか困った。
アゼル「…あー、悪いんだが、俺はここ初めてなんだ。」
と、とりあえず言う。
「あっ、そうなんですか…。」
女の娘は再び困った表情で顎に手を添え、考え込むが、はっ、とすぐに女の娘が口を開く。
「えっ、初めて?」
アゼル「あっ、ああ。」
「でも、ここにいるって事は、仕事をする気があるんですよね?」
希望に満ちた目でアゼルを見つめる。
アゼル「ちょ、ちょっと待ってくれ、先にここが何なのか教えてくれないか?」
慌ててアゼルは一番訊きたい事を訊く。
「…聞いたことくらいないですか?ギルド って。」
アゼル「ギルド?」
「そう、様々な人が仕事を依頼してくる施設で、それを私達、旅人や冒険家がその依頼をこなしていくんです。因みに余談だけど一応一般の人も利用できますよ。」
アゼル「ほう…。」
「…で、私は今仕事を受注しようとしたんですけど…」
アゼル「…ですけど?」
「いまいち自信が無くって…失敗する訳には…」
女の娘は少し哀しそうな顔をする。
アゼル「…まぁ、誰でもいいなら協力するが。」
間髪入れずに女の娘が反応する。
「本当ですか!?助かったぁ…」
アゼル「と言うか見ず知らずの人間にそんな期待していいのか?」
「いえ…、まぁ、一人よりはマシなんで…それに、あなたなんとなく強そうですし。」
アゼル「…そんなんでいいのか…?」
「まぁ、とりあえず受注して来ますね。」
すると女の娘はまたカウンターの人と話始め、契約を終わらせる。
アゼル「ところで、君の名前は?」
「そういえば忘れてましたね。私はルティシア・ハーツです。長いんでルティ、でお願いします。」
アゼル「わかった。ルティ、よろしくな。」
ルティ「こちらこそ。」
アゼル「…して、仕事の内容は?」
それから仕事の説明、自己紹介などで時間は過ぎて行く。
そしてルティが手配した宿で一泊する事になる。
ルティ「出発は明朝4時。目的は魔物の討伐です。寝坊しないで下さいよ。」
アゼル「わかった…。」
…今思えば、まさか記憶喪失とは…。
記憶を失う前はどんな生活をしていたのだろうか…。
そんな事を考えながら、アゼルは瞼を閉じた。