夏の気配…フジ
花々が次から次へと開花し、目移りをしてしまいます。
花の香りが漂い始めますと、春から夏への移行の時期「立夏」を迎えました。
藤の甘い香りと、薄紫色をした美しい姿が私たちの目を惹きます。
万葉の頃から和歌などに読まれ、今でもこの時期には花を愛でる祭りが開かれます。
近づくと多くの虫たちも蜜を求めて集まってきています。
藤の蔓は編んでかごを作るなど私たちの生活に浸透しています。
種子が便秘に作用することはご存知でしたか?
藤の花が終わり、夏になると花と同じようにビロード状の果実がたくさん垂れ下がります。
マメ科の植物ですので、ソラマメなどを想像するその形状ですが、成分が解明しておらず、食中毒を引き起こす可能性もありますので避けましょう。民間療法では、7~8月ころ採取し乾燥させ、種子を取り出したものを便秘の緩下剤として用います。
藤のつるは右巻きですが、山で見かけるものに左巻きのものもあります。
これは、「ヤマフジ」。薬用とはなりませんが、種子はおはじきとして遊ぶこともできます。
どちらの藤にしても、花を愛で、その後の種も楽しみですね。この先の藤の変化に注目してみましょう。
薬の日
今日は「端午の節句」
今年に入り3度目の節句になります。別名「菖蒲の節句」
勝ち負けの菖蒲や、武道、武勇を重んじる尚武という言葉、
また、菖蒲の葉の形が刀に似ていることから、男の子の成長を祝う日となりました。
兜飾りや、こいのぼりを飾り、柏餅・粽を食べ、菖蒲風呂に入り、菖蒲の葉で鉢巻きをします。
柏餅のカシワ、ちまきの笹、菖蒲、端午の節句はこれらの植物を取り入れ邪気を祓い、魔除けをし
健康を願う日でもあるのです。
今日、端午の節句は実は「薬の日」でもあるのです。
611年5月5日、推古天皇は百官を率いて、奈良県の兎田野(うだの)で、鹿茸(ろくじょう・鹿の若い角)と薬草を採取する薬狩りを行なったそうです。それに由来しています。
古来から、今の時期の植物たちは私たちの体調を整えてくれていたのです。
菖蒲は創傷、打ち身に作用します。そのことからも、育ち盛りで怪我の絶えない男の子が菖蒲湯に入ることは健やかな成長につながるのでしょう。
その他にも、血行促進や内用では胃腸薬に使われます。
今日だけでなく、継続的に植物を取り入れていきたいですね。
八十八夜
今日は「八十八夜」
立春から数えて八十八日目、夏の農作業を始める目安とする日ですが、
「八十八夜」=「茶摘み」をイメージするのは童謡「茶摘み」の影響も大きいですね。
幼いころから口ずさむ歌は、日本人としての季節感を知らず知らずに身につけているんだと改めて感じます。
この日に積んだ新茶を飲むと長生きするといわれています。
まだ、芽吹いたばかりのかわいい葉をいただく。きっと、その生命力が私たちの体の細胞を活性化させてくれるのでしょう。
新しいものというだけで飛びつかず、こんなことに注意したいですね。
まずは、新茶を一番いい状態で入れてあげること
次に、香り、味、色など私たちの五感すべてを使って新茶を感じること。
ものではなく、命あるものとして相手の一番いい状態をひきだし、そしてそれを感じてあげる
毎日の生活の中で何度も淹れるお茶だからこそ、大切にしたいですね。
今日は、お茶とのお付き合いの始まりの日としましょう。

