国民生活センターが、市販されている「水素水」を調査した結果を発表した。
調査した中でペットボトル容器の2商品はいずれも水素が検出されなかったというが、そもそもペットボトルで水素を封じ込められる筈はなく、製造メーカーがそれを承知していた事は疑う余地は無い。水素カーに登載されている水素ガスタンクが、数センチもある分厚いカーボンFRPでできているのは衝突時の安全性や高圧耐性もあるが、極微小分子である水素が漏出しないためでもある。ペットボトルの厚さ1ミリにも満たないPET樹脂では仮に水素水を充填したとしても一瞬で外部に水素を放出してしまう。メーカー側は、確かに水素水を充填していると言うであろうが、一瞬で抜けてしまう水素を最初から含有させておく必要性は無いわけで、ただの水を充填していたとしても店頭に並んだ時点の商品には全く違いはない。ただの水と同じものを「水素水」と称して販売するのは正に悪徳商法と言って良いであろう。また、水素ガス濃度表示のあった5商品は、「充填時」あるいは「出荷時」として記載があったというが、これも出荷後に容器から抜け出してしまう事を承知している故の表示であり、消費者が口にする時点でどれだけの水素が含有されているかは全く保証の限りではない。これらも消費者を欺く企業態度と言わざるを得ないと思う。
人気タレントが水素水にぞっこんとやらで、結婚式の引き出物に水素水発生器を出したと話題にもなっていたが、今回の国民生活センターの発表で大半の商品は程なく消滅してしまうであろうと思う。
そもそも水素を口から消化器内に取り込んだとして、それがどの様に体内に取り込まれるかは検証のしようも無いわけで、純粋な水素分子がラジカル酸素分子を中和することは事実であろうが、体内でその反応が発現する保証は全く無い。件のタレントも水素水メーカーから報酬を得てPRしているわけではなく、自身が効果を感じたから薦めているのであろうが、その効果の大半はプラセーボ効果であろうと思う。要は服用する本人の信心が何らかの効果をもたらす訳で、まさしく「鰯の頭も信心から」である。つまり、水素水を信じて愛飲するのは個人の自由であり、効果の有無も自身が感じるままでよいとは思う。要はそれだけの対価を払っても良いと自身が納得しているのであれば、他人がとやかく言うことではないということである。問題はブームに便乗して効果を過剰にPRし不当な利益をあげようとする企業の方にある。
水素水と同様に、テレビで頻繁にCMが流れているヒアルロン酸やコンドロイチン、グルコサミンもその効果の大半はプラセーボ効果であろう。経口服用で消化器から循環器を経由して、顔の皮膚組織や関節の軟骨にそれらの成分が届く確率は、宝くじとまでは言わないまでも微小であることは間違いないであろう。コマーシャルで何mg含有とかうたってはいても、その殆どは体内に吸収されずにただ排出されるだけではないかと思う次第である。
水素水にしても、ヒアルロン酸、コンドロイチン、グルコサミンにしても、幸いにして余程過剰に摂取しなければ悪影響はないのであろうから、販売する企業側も低リスクで高収益を上げられると莫大な宣伝費をつぎ込んでいるのであろう。消費者が払う商品代に占める製造コストと宣伝コストを比較すれば、恐らく宣伝コストの方が大きいのではないか。つまり常用者はメーカーに需要拡大のための宣伝費をせっせと提供している図式と言えるであろう。
健康サプリメントが次々と現れては消えるのは、何れもその効果が世間で話題になっている間だけ、つまり服用する本人がメディアや口コミを通じて頻繁に耳にしている間に留まることの証であろう。
2016/12/16 24:00