理研の笹井副センター長が自ら命を絶った。
世界でも認められた日本の頭脳をこんなことで失ったのは何とも残念である。ここに至った故人の思いは知るべくもないが、個人と組織の相克が背景だったのではないかと思う。
そもそも、STAP細胞の衝撃的な発表は英Nature誌の掲載が契機であった。小保方さんも語っていたが、それまでNature誌から荒唐無稽であるとして歯牙にもかけられなかった論文であった。それが、世界的な権威を持つ笹井氏が共著に入ったことで、Nature誌も疑わしくも一応の信頼をして掲載となったのであろう。笹井氏が副センター長として理研の組織としての強い意向に乗ってしまったのが間違いの元であったと言える。
STAP論文の問題点が表面化してからは、笹井氏は研究者としての個人のモラルより理研の組織の利益を優先したことに、慙愧の念にさいなまれていたのではないか。共著と呼ぶには余りにも関与の少ない論文であったことは、問題表面化後のコメントの端々に窺われた。あえて厳しく言えば、結局は理研の名声を高めるために自身の研究者としてのモラルを見失ったのである。このために、自身の研究者としての来し方を振り返って、初めて組織に魂を売ってしまったことに、耐え切れなかったのではないか。改めてモラルに覚醒したのであろう。この事は、個人と組織との相克という点で、類例は多いであろう。優秀な研究者を遇するために組織の長とすることの是非を考えさせられる。
願わくば、故人のこれまでの業績に最大限の敬意を払い、研究者としての名声を後世まで残す事で手向けとなって欲しい。 2014/08/05 17:45