梅雨が明けて、厳しい暑さの時季となりました。今年も、扇風機とエアコン、水分と栄養、適度な運動と睡眠で、この夏を乗り越えようと思っています。

今年6月末に、ここ福山市で珍しく大雨が降りました。多くの家屋が浸水し、全国ニュースでも放映されました。
福山市は瀬戸内海のほぼ中央に位置しており、これまで水不足になることはありましたが、大雨による被害はほとんどありませんでした。地球温暖化による降水量の増加が、ここ瀬戸内地方にも影響を与え始めているようです。





こうした気候の変化は、日本全国至る所で見られます。豪雨、竜巻、猛暑などです。そして、気候の変化は生態系にも影響を与えています。
近年、野生のシカ、イノシシ、クマなどが増えて、農作物や人に被害を及ぼしていますが、これは温暖化により積雪量が減少したり降雪期間が短くなって、野生動物の生存率が高くなったことが一因と考えられています。

生態系の変化の原因は温暖化だけではありません。人間による河川や海岸の工事なども大きく影響しています。
工業用水や農業用水の確保のため、また水害の予防策として、河川はコンクリートで固められ、川のあちこちや河口などに堰(せき)が作られて、川や川原に住む動植物の生育環境に大きな変化をもたらしています。
また、波による浸食や災害を防ぐために海岸に作られたコンクリート壁やブロックも同様です。
そして、陸地には高速道路網や鉄道路線が張り巡らされて、広大な土地が分断されています。こちらも、生態系に大きな影響を及ぼしています。

コンクリートやアスファルトには、生きものは住めません。たまにその上を歩く動物はいたりしますが、事故で死ぬ動物も数多くいます。
川のあちこちに作られた堰によって、アユ・サケ・ウナギなどの川と海を回遊する魚類は、多くの河川で、もはや生きてはいけない状況になっています。
ちなみに、河川や湖沼に生息する淡水魚は日本全国に約180種いるそうですが、このうちの100種以上は一生のうちのある時期に海が必要な魚だということです。つまり、日本にいる淡水魚の半数以上の種が、激減しているわけです。

私が住んでいる福山市北部は、かつては農村地帯で田畑が広がり、河川には多くの魚や生きものが住んでいたそうですが、現在は河川工事や農薬の使用などによって、魚類はごく僅かしか見ることができなくなっています。
たまに釣りをしている人を見ますが、釣ることを目的に誰かが放流して増えた、外来種のブラックバスを釣っているようです。ブラックバスは汚れた水にでも住めますし、元々いた在来種などを捕食して増え続けています。

子供たちは、近所の溝川にいるザリガニを取って遊んでいます。ザリガニも、汚れた水に住む生きものです。まぁザリガニがいれば、まだ良い方かもしれません。
また、田んぼの周辺にはまだカエルが生息していますので、子供たちが取って楽しめるのは、ザリガニとカエルくらいです。しかし、カエルも種類と数が昔よりはだいぶ減ってきています。

ところで、以前にも何度か触れたように、子供たちが外であまり遊ばなくなって久しく経ちます。
ゲーム、インターネット、スマートフォンなどの普及、夏の猛暑、身近な動植物の減少、戸外で遊ぶ場所の減少、所謂(いわゆる)ガキ大将を中心とした子供社会の消失などが原因だと思われます。
その結果、かつては子供時代に遊びを通して学んでいたことを、学べないまま大人になる人が増えているようです。
遊びを通して学ぶことは、勝負に勝ったり負けたりした時に自分の感情をどうコントロールするか、自分の欲求を満たすために他者とどう関わっていくか、自分の気持ちや考えを相手にどのように伝えるか、自分の要求を通すか周囲の状況に合わせるかの葛藤をどう調整するか、などです。

そういう力や術(スキル)を学ばずに成長すると、自分の感情をうまくコントロールできなかったり、他者との関わりで相手に合わせ過ぎてしんどくなったり、自分の感情を表現できなくて溜めこんだ結果、心身に不調をきたしたり、周りの雰囲気や流れに合わせることに必死で、自分が何を感じているのか何をしたいと思っているのかが分からなくなったり、といった状態になりがちです。
でもそれは、そのような環境にいる子供たちの責任ではなく、そういう環境を作ってきた大人たちの責任です。我々大人の責任によって生じている問題に対して、次世代の子供たちに「何とかしろ」と言うのは、傍(はた)迷惑で無責任な話です。
でも、何とかしなければなりません。生活環境は、年齢に関係なく全ての人に係わる問題なので、お年寄りも若者も一緒になって解決していかなくてはならないと思います。

話は少しそれますが、近年、脳の働きが次第に解明されてきています。若者がキレやすくなっているとか、忍耐や我慢ができない若者が増えているとか言われていますが、それについても新たな見解が出されています。
幼少期および子供時代に、我慢を強いられる時間が長過ぎたり、不安や恐怖を感じることが度々あったりすると、脳の中の偏桃体[脳の奥にある胡桃(くるみ)大の器官で、左右に1対ある]が敏感に反応するようになり、苦痛や不安を感じるような状況に対して過剰反応して、ストレス耐性が弱くなるというのです。
一般には、子供の頃に我慢することを学ばせなければ、我が儘(まま)で手に負えない大人になってしまうのではないかと心配する親御さんが多いのですが、最近の研究結果によると、子供時代の過剰な我慢や不安によって、ストレスフルな状況に対して敏感な脳が作られ、逆にストレスに弱くなるということが分かってきたのです。
これは、大変重要な知見だと思います。

現代の子供たちが置かれている状況は、勉強やスポーツでの競争を強いられ、遊びがかなり制限されて、忍耐や我慢を強いられ、テレビなどマスメディアからは不安や恐怖を煽るようなネガティブな情報が垂れ流しにされています。
こういう状況に対して、子供たちの脳がどう反応するか想像してみてください。

子供たちが自然の中で安心して楽しく遊ぶことができるようにする。そこでは年上の子が年下の子を守りながら、自分たちでルールを決めて、皆が楽しめるように工夫して遊ぶ。大人たちはそれにあまり干渉せず、遠くから暖かく見守る。子供たちのリーダーと地域の大人たちは、時々話し合いの場を持つ。
学校では、子供たちの年齢に応じた有益で有用なことを、遊びを取り入れながら、子供たちが主体的に学べるようにする。競争よりも共生に重点を置く。
といったことが、今最も必要ではないかと思います。