こんにちは。 お久しぶりです!


今年の夏、私のカウンセリング活動について、地元の中国新聞の記者から取材を受けました。

正確に言うと、面前DV(子供の前で両親がののしり合ったり暴力を振るったする)の経験をした方の経験談や、そんな経験をした人が大人になってからどんな気持ちで生きているのか、どんな支援が必要なのか、といった内容の取材でした。


その関係で、中国新聞の「文化」面に、私のコラムを8回シリーズで載せていただきました。

その記事を、4回に分けて載せていきます。



   「心理学と私①」 : 2014年(平成26年)9月24日付・中国新聞「文化面」


 私は心理カウンセラーとして、心身の不調に悩む人たちと向き合っている。この仕事を選んだ理由は、私自身が幼いころから生きづらさを抱えてきたからだ。振り返れば、心理学に問題の解決を求めながら生きてきたように思う。
 1957(昭和32)年、島根県金城町(現浜田市)で私は生まれた。人々の関心はもっぱら経済的、物質的な豊かさにあり、心の問題に光が当たることはあまりない時代だった。
 小学5年生の時、私は偶然見た母子手帳で知ってしまった。自分が養子であることを。ショックを受け、それがトラウマ体験となって、その後の自分を苦しめた。
 両親を信じられなくなり、何のために生きているのかも分からなくなった。そして中学2年生の頃から対人恐怖症に。読書や音楽で想像の世界に逃避し、思春期の危機を乗り越えたように思う。
 そんな苦悶に満ちた高校時代、2人の精神科医の著書に出合った。一人は森田療法の創始者、森田正馬。彼は「不安や緊張は向上心の現れ。無くそうとしなくてもよい」と説いた。環境を肯定的に捉えた上で、ありのままの自分で状況に合わせて生きればよいという、日本的な考え方だ。
 もう1人、オーストリア人のフロイトは、自我の発達や脳の働きを親子関係や環境との相互作用として説明した。人の感情・記憶・思考などの働きを徹底的に分析しようとする西洋的なものだ。
 対照的な二人の言葉に、目から鱗が落ちた感じがした。両方とも、自分の内面で起きていることを理解するのに大いに役立った。



   「心理学と私②」 : 2014年(平成26年)9月25日付・中国新聞「文化面」


 小学5年の時、私は両親の実の子ではないことを知った。たまたま見た母子手帳に書かれた私の姓は、親戚の家の姓だった。大きなショックを受けたが、養父母はその事実を私に告げることはなかった。私は実の両親について秘密にされたまま、苦しい思春期を過ごした。
 子どもが自分の生まれた経緯(出自)を知る権利―。これまで日本ではあまり重視されてこなかった。例えば配偶者以外から提供された精子による人工授精(AID)は既に60年以上の歴史があるが、精子提供者は匿名で、妊娠する母親にも知らされない。また、そうした経緯は夫婦だけの秘密にされる場合が多い。最近ようやく、子ども自身の「知る権利」について議論されるようになった。
 欧米では、一度壊れた親子関係と自己認識の紡ぎ直しを支援する動きが広がっている。法的な親子関係は育ての親との間にのみ成立することを前提に、生まれた子どもが精子や卵子の提供者を知る権利を認める国が増えている。
 育ての親は、事実を告げれば親子関係が壊れると不安になるかもしれない。だが思春期前の子どもなら、事実をそのまま受け止めることができる。一方、思春期以後に突然知ってしまった場合、「アイデンティティー・クライシス」(自己認識の危機)に陥る人が多い。私の場合もそうだった。
 生殖医療によって生まれてくる子どもが増えている現在、子どもの知る権利を保障する環境づくりが必要だ。同時に、親や子どもが悩みを抱え込むことがないように、カウンセリング体制の充実も急がなければならない。



では、また次回をお楽しみに。