「歌へたくそな子って可愛いよな」



ちがう。

それは、顔が可愛いという前提の話!




もしブサイクが音痴だったら




「ブサイクやし音痴、終ってる」
とか言われちゃう。








顔が可愛いけりゃ、
ある程度のマイナス面はカヴァーできてしまうのだ




ブサイクは損ばかり

美人は得ばかり



同じ人間でここまで差があるのも
如何ほどのものか!





今ここに

ブサイク手当の制定を申し立てる!



打倒、日本政府 。











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ブサイク手当が新定された日本



ブサイクの度合いによって
ブサイク手当が支給される




その手当をもらうには
ブサイクレベルの審査を受けることとなる。


BO(ブサイク・オーディション)の愛称で
民衆にその存在は広まった




ブサイクは
恋愛や就職 など
色んな場面で美人に負けてしまうことが多々ある


悲しいことも沢山経験する






しかし!


ブサイク手当の支給で日本は変わった



美人ばかりが得をする世の中ではなくなった



ブサイク手当で金を手にしたブサイク達は
整形により皆美人と化した




あっと言う間に日本は
美人だらけになった




世界的に日本は「美人の国」と各国で評され

「第二の韓国」とまで言われるようになった。




美人になった元ブサイク達は
今まで着ることのできなかった煌びやかな洋服を纏い、オシャレに目覚めた




コスメ業界アパレル業界エステ業界など
美に携わる業界は急成長を遂げた



美人目当てに海外からの観光客も増え
我が国の経済は上昇の一途を辿った










しかし、そんな平和な日々は
生まれ持っての美人




「元から美人」の手により
破滅することになる。





手当ももらえない、
ブサイクだったくせにチヤホヤされる


勝ち組遺伝子を持って生まれ
宝の様に扱われてきた元から美人達は怒り狂った



トクベツアツカイシロ

オマエタチハ ツクリモノ




「元から美人」の口癖であった。




元から美人はブサイク手当の支給廃止を政府に申し立てた




しかし
政治家の多くは男性 。

その他の数少ない女性政治家もすでに整形している「元ブサイク」が大多数だった




やはり男性は美人が好きだし
元ブサイクの女性政治家も
政治家でいる時点で整形資金はあったものの

手当によって美人と化した一般市民に対し、痛げな同情しかなかった。




その為、廃止するか否かの断定は何年もの時間が要された。







そうしている間に

美人だらけの国で成人男性が大人しくしているはずもなく、
セックスに励みまくった末


元ブサイク達との間に授かった命はたくさんあった。





ブサイク手当を制定した当時 、
そんなことは思いもしていなかったわけだが


整形美人から
勝ち組遺伝子ができるわけもなく


やはり元ブサイクの子は皆ブサイクであった






元から美人は喜んだ




ホレミロ、ミンナブサイクダ、
ワッハッハ!







元ブサイクから産まれたブサイクな子供達は
私も美人になりたい!と
次々と手当の許可認定を受けようと日本中から
BOの申し込みが殺到した

どの受付施設もブサイクで溢れ返ってしまった



これがあの有名な
オイルショックならぬ
ブサイクショックである




第一団塊世代の「元ブサイク」の人口よりも
新生ブサイクの方が多いのは
言わんと分かるであろう…



男という生き物は美人すぎない方が手を出しやすいのだ。

元から美人より 元ブサイクの方が何かとやりやすいのだ。

そこで元ブサイクとのセックスに励み過ぎたのである。





だがそんなことを元から美人が許すはずもなく
核兵器をも拵えた



美人の為なら軍隊も動く。





世の男性は情けない。

やりやすいのは元ブサイクであるが
本気で体を動かすのは真美人の為なのだ。





核兵器の存在を知ったブサイク達は

少しでも抵抗しようと
美人たちの家の米を盗みまくった




これがあの有名な
米騒動ならぬ
ブサイク騒動である





怒り狂った美人たちはついに核兵器を作動させた…








それはブサイク大戦の幕あけを意味した。







美人たちは自分の顔を汚すまい と
主に重機や兵器で戦った。





ブサイク達も戦法を考えたが
ブサイクの為に軍隊が動くわけもない、

そうだ!自分たちで武器を作ろう!





日本中のブサイク達が集まり

ブサイク会議が行われた。





私達には武器がない…


自分たちで作るには…





…竹だ!竹ヤリを作ろう!




しかし
日本中のブサイクが集まれば
そのオーラに負け
竹やぶは朽ちてしまった。




みるみる内に兵器により戦死していくブサイクな仲間達…



その姿は杜撰
そのものであった。





見るに見兼ねたブサイクリーダー・莉奈は
ついに動き出し、全国のブサイク達に発令した






皆の衆、固より
この戦の発端となったことは如何なるものか!



我々に人工的な武器など必要ない!


お前やお前やお前
そしてこの私にも最大の武器があるではないか!







ブサイクリーダーが武器としたものは
自らの顔面であった。





まさに顔面凶器。


ブサイクにしかできない、
ブサイクならではの
ナイス★アイディアだった






更にブサイクリーダーは続けた





この戦、我々の顔面を武器とし
勝利すれば
「勝ち組遺伝子」と言われたものは
私達にあったことになる!




ブサイクたるもの
ひがみ根性で勝ってやろうじゃないか!



ブサイク手当の廃止はこの手で阻止する!






ブサイク達は歓喜のしゃがれ声を挙げた








こうして本格的なブサイク大戦が始まった。








しゃくれている者は顎で美人の心臓を突き刺した



エラの張っている者は
エラを盾にし、鉄砲の球を跳ね返した





歯周病で歯の抜けた者は口臭で催涙弾を作った




鼻の穴がでかい者は
一気に空気を吸い込み美人をあっと言う間に裸にし風邪をひかせた




くせ毛の者は美人の首に髪を巻きつかせ締めあげた











ブサイク達は強かった。
顔も心も強かった。



美人達は今まで甘やかされてきた為に
根性や気合い と言うものがなかった。








人工的な武器では
美人達になす術はなくなった。






美人達にはブサイクのように、
顔面を武器とすることもできない







さらにさらに と攻撃をしかけてくるブサイク





美人の数はどんどん減っていった




そんな悲惨な日々が続く中

ついに美人は最後の1人となった





その美人はすでに戦気を完全に喪っていた





日本の美人の絶滅の時


やはりトドメはブサイクリーダー・莉奈の手に託された





幾度となく自らの顔面を武器とし
ここまで戦ってきた。



ブサイクリーダーが最後の武器として選んだのは


ワシ鼻ナイフだった






本物の鷲をも慄くようなそのワシ鼻を
天高く突き上げた



両手を振りかざし助走もつけた




ブサイクリーダーは美人の脳天めがけ、走った



できることならトドメは一発で決めたかった


何しろ歴史に残る瞬間故、
リーダーとしてのプライドも助長した



約5kmほどの助走距離を全速力で駆け抜けるリーダー



周りではブサイクな仲間達がその瞬間を今か今かと待ちわび
皆が応援声をあげた





リーダー頑張れ!


リーダー ナイス鷲鼻!









ブサイクリーダーは風になった




ブサイクな風になった






最後の時まであと5m



4m…



3m…



2m…




1m…








そして!




















しかしブサイクリーダーは体を反復させ、勢いよく踵を返した






ブサイク達は元々小さな目を点にし
唖然としていた






どうしたの?リーダー…




早く!今よリーダー!






一斉にどよめき出すブサイク達













その時ブサイクリーダーが目にしていたものは






最後に生き残った美人の

涙だった








天性とも言える美人のその泣き顔は
あまりにも美しすぎた







ブサイクリーダーはふと我に帰り
ブサイクな衆達に縷々述べた







私達は何をしていたの…

こんな綺麗な…こんな美しい人々を


顎で刺し
口臭で泣かせ
くせ毛で首を締めた…






私達がそもそもしたかった事はこんなことだったの…?










怒りと言う感情は時にその人をまるごと飲み込み
自分自身をもコントロール不能とする




もはやブサイク手当廃止を阻止することなど
怒りと言う感情に飲み込まれたブサイク達にはどうでもよくなっていた



目的としていた事を喪っていた





美人の絶滅を望んでいたはずではなかった






ブサイクリーダーは取り返すことのできない誤ちをどのように収集すれば良いのかわからず

その場に立ちすくみ
泣いた







どのパーツがどこにあるのかもわからぬくらい
無様な顔面で泣いた





この世のものとは思えないほどのその形相を、ひらすらに涙が濡らす







美人は突然のことに驚き
ブサイクリーダーを見上げた。





見上げてしまったのだ。








美人の網膜内にはあり得ない姿が飛び込んできた




美人の脳内で
見たことのない酷く崩れたそのブッッッサイクなものが
人間の顔だと判断した瞬間




ショックのあまり
美人の心臓は拍動を停止した。





最後の美人の命の灯火は
呆気もなく消えてしまった。












こうして一人も美人がいなくなってしまった日本



ブサイクで溢れかえる我が国








数えることのできない程の
尊く、亡くすはずではなかった命を少しでも敬う気持ちとして


ブサイクリーダーは
自分のワシ鼻をへし折り、自らの巻き爪で顔から切り離した。



その後
ワシ鼻ではなくただのひん曲がった鼻を
美人達の眠る霊園に手向けた







嗅覚と鼻を共に失ったブサイクリーダーは


更にブサイク度を増していた






それでも足りないほどの事をしでかしたことは分かっていた




いくら時が経っても居た堪れない気持ちで押しつぶされそうだった








しかしブサイクリーダーは心に誓った






美人達の分まで生きてやろう





こんな顔でもいい



増してや一人残らずブサイクとなった日本。


争うことなど何もない。








ブサイクでも


精一杯生きてやる








そう、我々は皆

ブサイクでもこうして生きている…!






























美人達の眠る霊園


たくさんの花と共に
ブサイクリーダーのブサイクな鼻は夜空の元




今夜もひん曲がり続けている…