あの戦いから、2年の月日が流れた。17歳になっても身長が少ししか伸びなかった俺は、相変わらずチビ。そして、旅立つ前と変わらず、国家戦士として忙しい毎日を送っていた。戦いのあと、元の世界に帰ってから別れた仲間はみな、それぞれの道を歩き出した。ソーサはシオンに帰り、軍の指揮官に復帰。時々俺もその指揮下に入るけど、さすが俺の姉というべきか、指揮が早いし的確だ。アズールはソーサの護衛になり、いつも一緒だという。そういえば、この間貰った手紙に婚約したとか書いてあったような…。キラはあれ以降音信不通で、俺の知る限りでは、国家戦士の中でも特殊な作戦を担当する部隊で活動しているらしい。
俺は自室の窓に近づき、外を眺めた。青空を鳥が飛んでいき、太陽は優しく平和な世界を照らしている。
「……」
「ライラ!お姫様が来たわよ!」
階下から母親の声が聞こえた。元気よく返事し、部屋から出ようとするが、すぐに引き返して、机の上に置いている父の写真に話しかけた。
「行ってくるね、父さん」
ペンダントを服の下に入れ、階段を駆け降り、玄関で待つ少女の元へ駆け寄る。
「早く行こっ、ライラ!」
「え、エリーザ…わっ!」
エリーザに引っ張られて、外に飛び出した。エリーザの右手の薬指に光る、シンプルなシルバーリング。それを見て、なんだか照れくさくなる。
「照れないの、私達、来年結婚するんだからね」
はにかむエリーザの笑顔。俺は頷き、空を見上げた。心地よい風が、王都を吹き抜けていく。
運命の歯車は回り続ける。そのことを、少年はまだ知らない…。
…To be continued.