治療の副作用 <下痢> | 39歳 癌になったママ女医 〜Cancer Gift〜

39歳 癌になったママ女医 〜Cancer Gift〜

消化器内科医 緩和ケア医 2児の母 
39歳で子宮頸癌と診断されました。
それからの経験がどこかで何かの役に立てられればと思い、綴ります。
癌の手術や化学療法などの治療に挑む方。
小さな子どものママで癌を患った方。
医師としての自分、母としての自分に。

骨盤領域に放射線があたる

同時化学放射線療法(以下CCRT)の副作用として

特に注意しなきゃならないのが、下痢。

 

骨盤領域の放射線照射では腸の粘膜にもどうしても放射線があたってしまい、腸に炎症が起こって下痢になってしまう人が多いらしい。

 

 

私の場合、手術の影響で便通に問題がありそれがまだ治ってない。(以前ブログ「排泄の苦痛」)

その中で、さらに「下痢」になるなんて、考えただけで辛い。

 

 

 

それでも、期待できる材料はあった。

 

今回治療を受ける病院の放射線治療は、強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)という技術を取り入れている。

 

このIMRTは、コンピュータの助けを借りて

本来放射線が当たらなくて良い周りの臓器への照射線量を抑えながら当たるべき癌の部分に放射線を集中して照射できる画期的な照射技術。

 

本来放射線が当たらななくて良い周りの臓器、つまり腸への照射線量が減るため、下痢の副作用もその分軽減されることが期待できるのだ。

 

 

10回目の放射線照射が終わった頃からが

下痢が出て来やすい時期。

毎日ヒヤヒヤして過ごす。

 

 

看護師さんは必ず毎日

「下痢はないですか〜」

と聞いてくださった。

 

「下痢が1日に4〜5回ぐらいでだしたら、もうすぐに下痢止めを使いましょうね、すぐ薬が使えるように、先生に用意しておいてもらいますね」

 

どういう状態になったら、どう対策してくれる、というのが明確になっていると、それだけでなんだか安心できる。

 

こういったアナウンスはとってもありがたかった。

 

 

確かに放射線治療9回目あたりから、下痢っぽくなってきた。

ただ、何回もトイレに通ってシャーシャーな感じではない。

 

ご飯を食べ始めるとギュルギュルギュル〜と

外に聞こえるほどお腹が鳴り、

大腸が右から左へ蠕動するのがお腹に手を当てると分かるほど。

食べている最中にガスが出てしまったり、

急にトイレに行きたくなる感じ。


 

手術で排便に関する神経も傷ついていることが原因で

腸の動きが乱れているし、

肛門付近で出したい感じがあっても

スッキリと出せなかったり、

時にはもれたり…

恥ずかしい。悔しい。

 

 

大部屋だから、食事中にトイレに行くのも同室の方に

なんだか申し訳ない。

 

 

家に帰っても、こんな感じだったら家族にも不快な思いをさせるかもしれない…

 

 

そんな思いで、

食事の時間は、しばらく試練だった。

 

 

それでも、治療中の副作用の経過は

放射線照射28回中27回目の時に一日3回の下痢。

結局、先生に準備していただいていた

強力な下痢止めは使わずに済んだ。

 

 

上述の照射技術の恩恵かもしれない。

 

 

ただそれでも

せめてもの、という感じではあるが

腸の環境をできるだけ良く保つために、したことを

書こうと思う。

 

できたことは、

・ お腹を温める

・ プロバイオティクス・シンバイオティクスの摂取

この2つだろう。

 

 

治療中にお腹を温めるのが良いとアドバイスしてくださったのは、一緒に働く化学療法専門医の先生。

腹巻を買った。

最初は、ホッカイロでしっかり温める方がいいかな?

と考えたりしが、

ホッカイロとかではなくて、ソフトに温める方がいい

と言われたので、腹巻を毎日つけることにした。

 

腹巻をつけるのは、初めてだった。

正直、布一枚にそんなに効果があるとは思えなかったから

今まで利用しなかったのだが、

これが結構、いい。

ソフトに温めてくれている感じ。

 

 

私の買った腹巻はこれ。肌触りがとてもgood

 

 

 

特に、入院中はパジャマ生活だから、

腹巻がないと、お腹周りがなんだかスースーしている感じ。

腹巻をつけているとお腹がポカポカして

快適だった。

 

 

2つ目のプロバイオティクス・シンバイオティクス。

プロバイオティクスは、いわゆる善玉菌のことで乳酸菌やビフィズス菌などのこと。

シンバイオティクスは、プロバイオティクスとプレバイオティクスというのを合わせたもの。

何だかややこしいので、わかりやすく解説してくださっているサイトを添付させていただきます。

https://www.shiroyama-hsp.or.jp/content/files/eiyou/kenkoukyositu_Vol4.pdf

 

シンバイオティクス、何だか響きは難しいけども、

入院中でも食事さえ食べられれば簡単に実現できる。

 

例えば

プロバイオティクスを多く含むヨーグルトやお味噌汁

プレバイオティクスの成分を多く含むバナナなどのフルーツ

これを同時に摂取するとシンバイオティクスとなる。

 

お味噌汁は大体の病院食で付いているだろうし、

ヨーグルトやフルーツは、看護師さんか栄養士さんに相談したら食事に添付してもらえることが多い。

 

私の場合、前記事で書いたように、

朝はフルーツ盛り合わせとヨーグルトにしていただいたので、まさにこれがシンバイオティクスだった。

 

 

治療が終わっても、腸の状態が回復するには時間がかかるだろう。

だから、しばらくはこの2つは意識していこうと思う。