下肢のむくみについて | 39歳 癌になったママ女医 〜Cancer Gift〜

39歳 癌になったママ女医 〜Cancer Gift〜

消化器内科医 緩和ケア医 2児の母 
39歳で子宮頸癌と診断されました。
それからの経験がどこかで何かの役に立てられればと思い、綴ります。
癌の手術や化学療法などの治療に挑む方。
小さな子どものママで癌を患った方。
医師としての自分、母としての自分に。

左下肢は術直後から浮腫んでいる。

手術から約3週後退院する時までには

もも辺りの周囲径が3cm程度右より太いという程度に改善して、パッと見は差がわからない程度になっていた。

 

この時点の浮腫の原因は、外腸骨静脈という太い静脈を切除したことによるもの。この血管の代わりに、側副血行路という新しい血流が徐々にできてくるが、これは細い血管であり、鬱滞しやすいため、脚が浮腫んでしまう。

だから、このむくみは想定内だ。

先生によれば、むしろ想定よりも随分マシとのこと。

 

随分マシだった理由は、

手術前から癌が外腸骨静脈を潰していて、体がその状態(外腸骨静脈が機能していない状態)にすでに適応していたからだ。

手術して切断したからといって体に起こった変化は、小さかったというわけだ。

癌が静脈を潰していたなんて考えると恐ろしいけれど、むくみが想定よりマシなのはラッキーだ。

 

 

婦人科手術後で下肢のむくみというと、まずリンパ浮腫というのが思い浮かぶが、

私の場合は、上記のように外腸骨静脈の切断という要素も加わり、考えられる浮腫の原因は主に3つ。

 

1、外腸骨静脈切断によるもの

2、下肢の静脈血栓によるもの

3、リンパ浮腫によるもの

 

 

1は上述。

 

2は1による側副血行路は鬱滞しやすいため、そこに血栓ができやすい。予防策としてエリキュースという抗凝固薬で血を固まりにくくしている。それでも長時間同じ姿勢でいたりすると、血栓ができてしまうリスクはある。血栓ができるとむくみや痛みなどの症状がでてくる。

 

3は婦人科の手術で骨盤のリンパ節郭清を受けた人に起こりやすいものだ。手術によりリンパの流れが悪くなってしまうことでむくみがおこる。

 

 

そういうわけで、

左脚に関しては、むくみは必発、

最悪象の足のようになってしまうこともなきにしもあらず。

と術前から覚悟はしていた。

 

 

しかしラッキーにも術直後のむくみがかなり軽かったため、このままなんとかならないものかという欲が出る。

 

 

とはいえ

なんでも順調にはいかないものだ。

術後一時退院の2週間、

家族のため、自分のため、

家にいて出来る限りのことをやろうと色々と動き回ったら、

左下肢はみるみる重く浮腫んできた。

 

 

くるぶしのでっぱりがなくなり足の甲から足首にかけて、

ぼってりとした感じ。

 

 

早速きたか。

動き回ると言っても、活動範囲といえば、

家の中と最寄りのスーパーに行った程度だったのになあ…

 

 

誰に見せるわけでも褒められたわけでもないが、

私は自分のくるぶしの辺りが実は気に入っていた。

それが変わってしまうのは少し寂しい。

着る服も変わってくるだろう。

 

 

この浮腫の原因はなんなのか。

早速リンパ浮腫なのか。

 

 

治療を受けた病院では、

婦人科で骨盤リンパ節郭清を伴う手術を受けた人は、症状があってもなくても必ず術後に「リンパ浮腫外来」というのを受診することになっている。

 

これにより、発生頻度が高いリンパ浮腫という悩ましい合併症に出来るだけ早く対応していくことができる、素晴らしいシステムだ。

 

その外来ではリンパ浮腫は

‘とにかく早期に対応していくことが大事’

と教わっていた。

だから、今回再入院してからすぐに、看護師さんに言って

リンパ浮腫外来を予約してもらった。

 

1週間後が受診日となった。

 

早期に、と言われているから

受診の日まで待ち遠しい気持ちだったが、

入院してから、特別なことは何もしていないのに

みるみる浮腫が良くなった。

 

良くなった理由として

考えられることは

入院して歩いたり足を下ろす時間が格段に減ったことだ。

 

1週間後にリンパ浮腫外来を受診する時には、

もはや元の太さくらいに戻っていた。

色々と計測してもらっても、やはり

筋肉量の左右差という程度だった。

 

 

この時の浮腫の原因は、結局

外腸骨静脈切断によるものじゃないかとのこと。

なぜなら

足の末梢の方がよりむくんでいたからだ。

 

リンパ浮腫の場合は

’足の付け根の方’からむくむそうだ。

だから、内ももの辺りをつまんで厚みが違うかどうか確認すると良いらしい。

 

最初は軽かったむくみ。

やっぱりむくみはひどくなると、

それなりにショックを受けるということがわかった。

なんとか、先延ばしにしたい。

 

リンパ浮腫には明らかなエビデンスのある予防法はないそうだ。

また、「これをやったらダメ」というのも

ないと、リンパ浮腫外来の先生はおっしゃる。

書籍には「こういうのはやらない方がいい」と書いてある事項もあるが。

 

ただ、体重増加は発症のリスクになるらしい。

発症を遅らせるため何かできることがあるならやっていきたい。

 


まずは、筋力低下や体重増加を防ぐため、

適度な運動の習慣をもつことが大切とのこと。

運動時は着圧ソックス着用がオススメとも。

 

 

長期入院で筋力低下がなるべく起こらないように

できる範囲で運動をしていこうと思う。

着圧ソックスも探しておかなければ。