午前2時のホラーショー

午前2時のホラーショー

貴方は何に恐怖を覚えますか?

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祐実は自宅のコンビニを手伝っている。高校卒業して早2年。大学に行けばよかった・・・。そんな後悔からやっと立ち直り、今は笑顔も取り戻した。それは仕事の笑顔ではなく、本当の笑顔を。何より最近始めたインターネットが面白い。彼女はお気に入りのノートパソコンを毎晩のように立ち上げる。友達からインターネットで彼氏ができたことを聞き、私もできるかな?そんな気持ち、好奇心があったのだ。そしてメッセンジャーで会話をする。それが楽しかった。


「雅人、今日も来るかな?」


祐実の気になるインターネットの男性。彼の顔が知りたい。本当の彼を知りたい。祐実の好奇心は高ぶっていた。


「今夜こそ、写メ交換するんだからぁ~。」


それまで何回取り直しただろう。祐実の一番のお気に入りの顔が映るまで、何度となく取り直していた。もう夜中の12時を回っている。祐実はノートパソコンの電源を入れる。少しお腹のすいた祐実は、手にスナックを抱えていた。


「あぁ~ぁ」


ノートパソコンにスナックをこぼしてしまった。慌てて息でスナックを吹き飛ばす。


「大丈夫かしら?」


ノートパソコンはカタカタカタと音を立てて立ち上がる。


「おかしな音がするわ。まぁ、買ったばかりだから大丈夫ね。」


ノートパソコンは、通常通り立ち上がった。祐実は急いでプラウザを起動する。もう雅人が待っているかもしれない。彼女は携帯からパソコンに自分の写メを転送する用意を始めた。勿論、雅人との写メ交換のためだった。


「ひっ!」


彼女は悲鳴にならない声を上げる。


僕ト死ンデクレマセンカ?


パソコンに詳しくない祐実は、何がなんだかわからない。いつも現れるはずのポータルサイトがそこにない。黒い背景に、白い小さな文字で、


僕ト死ンデクレマセンカ?


と表示されている。


「も~なんなのよ。どうしたらいいの?これ。取説にあったかしら?」


彼女は本棚のノートパソコンの説明書を取り出す。


「え~と。」


ノートパソコンの前で取説を読む祐実。トラブルのページを探してみる。パソコン設定まで全て業者に任せ、取説を読む事など初めてだった。


「もぅ~」


祐実はプラウザの起動ボタンをまた押した。あの文字が消えた。


「よかった~。これでだいじょう・・・。」


「誰?誰なの?」


かすれた声で祐実は後ずさりする。男の顔が画面に広がっている。ぼんやりと現れた男の輪郭。徐々にはっきりと現れる。口が見え、鼻が見え始める。でも祐実はその画面から顔を背けることができない。そしてついにその顔ははっきりと祐実を見据える。


「・・・。」


男と視線が合った。

弘美はとある地方都市でホステスをしている。最近風営法の取締りが厳しく、午前一時の閉店の日が続く。それは弘美にとっては嬉しいことだった。彼女は余りお酒に強くない。そんな彼女の楽しみはインターネット。メッセンジャーで誰とも知らない男と話すことで寂しさを紛らわせていた。


今夜は土曜日。彼女は閉店の時間になり急いで帰宅する。日曜日が休みということもあり、明け方までメッセンジャーを楽しむ。そんな生活のリズムだった。インターネットの世界では、自分がアイドルになれる。ちやほやされる。美人といわれる弘美には彼氏がいなかった。寂しさから彼女はメッセンジャーをはじめ虜になった。大勢の男性が彼女の事を必要とする。快感を覚えていた。


マンションに帰り着くと、ノートパソコンの電源の入れる。パソコンの明かりに弘美の整った顔が照らされる。彼女はノートパソコンの明かりだけで、部屋の明かりをつけない癖があった。


「たまにはビールでも飲もうかな?」


今夜はお客が少ない事もあってあまり飲んでいない。なんだかビールを飲みたくなった。プシュと鈍い音が響く。ビールの泡がこぼれた。


「大変!パソコンにこぼれたわ!」


彼女は急ぎティッシュを探す。暗がりでもたついたが、キーボードが少し濡れた程度で済んだようだ。


「よかったわ。でもパソコン壊れていないかしら?」


プラウザを起動する。


「あれ?」


登録してあるいつものポータルサイトが表示されない。


「変ね・・・。」


ハードディスクからカタカタと乾いた音がする。


「やっぱり・・・ビールのせいね。」


ノートパソコンが一瞬暗くなる。


「きゃ」


弘美は小さな声でノートパソコンを見つめる。暗い画面に文字が浮かんでいる。


僕ト死ンデクレマセンカ?


弘美は驚いた。なんでこんな文字が勝手に浮かぶのだろう。弘美は怖くなっていく。


「どうしよう。電源・・・そうだわ。電源を落とさなきゃ。」


パソコンの終了の準備をする。目にはあの文字が浮かぶ。


「嫌だわ。早く終了しないと。ひゃぁ!!」


彼女の目には、パソコンの文字が消え、男性の顔が徐々にはっきりしてくる様がわかった。弘美はパニックになっている。早くパソコンを切らないと・・・。


「電源・・・コンセントから抜かないと!」


慌てて電源コードを抜く。振り返った弘美は、パソコンの画面が薄暗く照らされている事に気付く。


「あぁ、ノートパソコンはバッテリーを外さないと駄目だわ。」


そう気付いた弘美は、ノートパソコンに近づく。画面はただボーと薄暗い。男性の顔は消えていた。ノートパソコンに近づいた弘美は動きが止まった。ノートパソコンに突然に、しかもはっきりと浮かぶ男の顔。さっきの男の顔。その目と弘美の視線が合ったのだ。