こんにちは。FEADERです。

さて今回は、タイトーおとなプライズ魔改造コスモドラグーンの真の秘密を見ていきましょう。

何を隠そう、このコスモドラグーンは、完全フル可動モデルなのです。

①エネルギー開閉ボルトをコッキング→シアーに掛かって後退位置でストップ。
②連動してシリンダーが右に1/6回転。
③トリガーを引いてシアーを解放→エネルギー開閉ボルト、前進位置へ。

この一連の動作がスムーズに行えるのです。
まずは百聞は一見にしかず。この動画をご覧ください。

どうですか?ボルトに連動して綺麗にシリンダーが回っているのが見てとれると思います。

では、組み立て行程を追いかけながら、構造について説明して行きたいと思います。
まずはメインフレーム。
既にトリガーメカがインストール済なのはご了承ください。
フレーム左際に突き出ている半円形のパーツはセーフティです。

フレームを横から。


リコイルシールドから前方に突き出たハーフパイプ状の部分は、サブフレームの取り付くマウントです。
その奥、リコイルシールド内部に白色のシアーが見てとれますね。

メインフレームを下面から。
シアーとシアースプリングの位置関係が分かるでしょうか。
フレーム側面を貫通する三本のスクリュウのうち、いわゆるボルトスクリュウは、シアースプリングの押さえとトリガーストッパーの役割を果たします。

トリガーがインストールされた状態。

トリガーがインストールされた状態を後ろから。セーフティとトリガーリンケージ(後述)
の位置関係が見えます。

トリガーメカの模式図です。
左上に在るのがトリガーリンケージ。トリガーの動きと連動して、シアーを下方に引き下げる働きをします。この画像は初期位置です。

トリガーを引いた状態。
トリガーの後端がトリガーリンケージを押すことで、トリガーリンケージを前傾させます。
これが、シアーを引き下げる直接の力源となります。
シアーとセーフティを含めた模式図。
トリガーリンケージは、セーフティと軸を共有し、セーフティの左半分のスペースを間借りしています。

シアーを後ろ側より見る。
アウターボルト下側の「シアースタッド」と噛み合って、エネルギー開閉ボルトを後退位置で固定します。
色が白いのは、3Dプリンターの造形素材の色なのです。シアーとインナーグルーヴだけは3Dプリンターで作られました。

セーフティとシアーの位置関係。
これはセーフティOFFの状態。
こちらはセーフティONの状態。
セーフティがシアーに割り込んで、シアーの上下動が封じられます。

この魔改造コスモドラグーンは、世にある全てのコスモドラグーンの中に於いても、セーフティが設定通り動作するおそらく唯一のモデルだと思います。

バックストラップ。
モナカ構造のため内部は中空でした。見ての通り、中空の部分には真鍮板を積層して内部を密にすると共に、重量増を狙っています。


トリガーガード。
トリガーガードにも、同じように真鍮板を積層して強度増と重量増を狙っています。


ウッドグリップ。
ウォールナットからの自作削り出し。ワトコオイルでオイルフィニッシュしています。

ホワイトメタル製のスカルレリーフ。
エポキシパテで造形したものを業者にお願いして、ホワイトメタルで鋳造して頂きました。

メインフレームとトリガーガードの接合。
ちゃんとマイナススクリュウで固定します。


ウッドグリップを嵌め込んで、バックストラップを装着します。

サブフレーム。
これにボルト機構が取り付きます。

サブフレーム下側。
メインフレームのハーフパイプ状のマウントに、皿子ネジ4つで固定されます。

エネルギー開閉ボルトのエンドピースとガイドロッド。

サブフレームとインナーボルトのパーツ群。

アウターボルト。

アウターボルト先端上側の突起が、シリンダーと噛み合う「ローテーションスタッド」。

アウターボルト下側の突起が、シアーと噛み合う「シアースタッド」。

インナーボルトの組み立て。
インナーボルト本体にボルトスプリングとスプリングガイドを挿入。

挿入出来たら、インナーボルトとサブフレームを2Φ×10mmのピンで固定します。

インナーボルトにアウターボルトを被せます。

スプリングガイドの穴がインナーボルトの横溝穴から覗けるのを確認して、アウターボルトを被せます。

被せたら、2Φ×14mmの皿子ネジで、スプリングガイドを貫通して固定します。

シリンダー。

シリンダー内腔に内装された「インナーグルーヴ」。これが、ボルト・シリンダー連動可動機構の最重要パーツなのです。
このパーツも3Dプリンター製。というか、3Dプリンターがなかったらまず作れませんでした。
インナーグルーヴの構造図面です。下がシリンダー後方、上がシリンダー前方です。またこの図は、シリンダー内腔を外側から透視した図になります。

話は逸れますが、この理屈はイギリスの拳銃「ウェブリーフォスベリーオートマチックリボルバー Webley-Fosbery Automatic Revolver」からヒントを得ました。
銃身とシリンダーを含むアッパーレシーバーが射撃の反動で後退する時に、メインフレーム側の突起とシリンダーに彫られた溝が噛み合ってシリンダーを回転させる、という物。

銃身の後退をエネルギー開閉ボルトに置き換え、シリンダー上の溝を裏返してやれば、理屈では可能だ…そう気づいたのです。

サブフレームとメインフレームの接合。
アウターボルトまで装着したサブフレームを、前方から差し込んで、メインフレームに固定します。

サブフレームの固定は、2.5Φ×4mmの皿子ネジで行います。

サブフレームをメインフレームと接合したら、後方からボルトエンドピースを差し込みます。

きっちり差し込み、2.5Φ×8mmの皿子ネジで底面から固定します。
これでボルト機構の装着が完了しました。

次にシリンダーを前方より差し込みます。
差し込む時には、シリンダーインナーグルーヴの縦溝と、アウターボルトのローテーションスタッドを合わせて、差し込んでいきます。

シリンダーを無くした状態のボルト機構。
アウターボルト、サブフレーム、メインフレームのサブフレームマウント、これらが総体でシリンダーのシャフトを構成しているのが分かってもらえると思います。

バレルユニット。
ここから更にローディングレバーやバレル本体の分解も可能ですが、今回は割愛します。

バレルユニットを後方から。
このように、実銃同様のパーツ構成としています。

サブフレーム先端は、バレルユニットを接合するシャフトになります。
バレルユニットをしっかりと差し込んで…

バレルピン。
雌ネジのシャフト部が5Φ×18mm、ネジ頭が6mmΦ。雄ネジは3mmΦとなっています。
業者にお願いして作って頂いた特注品です。

バレルピンの雌ネジを左側から差し込んで…、

右側から雄ネジで固定します。締め付けのトルクは殆んど必要としません。

バレルフレーム両側面の零士バルジ。 
ローディングレバーシャフトの「めくら蓋」です。

前後にピンがあり、中央はネオジム磁石です。
瞬間接着剤で接着しているだけなので、油断をするとよくとれてしまいます。
ローディングレバーシャフトはスチール製なので、零士バルジは磁石の力で接合され、前後のピンで前後の向きを固定されます。

以上で組み立ては完了です。
おおよその内部構造は分かって頂けたのではないかと思います。