2008年4月15日に日経ネットに下記記事が掲載されました。
TBS系「世界遺産」がタイトルと放送時間を変えて新しいスタートを切った。ナレーターは第5代の俳優・市村正親に代わった。
番組タイトルは「THE 世界遺産」と4月6日から変わった。放送時間も日曜午後11時30分スタートから、日曜午後6時スタートに格上げ。日本テレビ系「真相報道バンキシャ!」、フジテレビ系「ちびまる子ちゃん」がしのぎを削る視聴率激戦区だ。長さはこれまでと変わらず、30分番組だ。
旧「世界遺産」は1996年4月にスタートしたドキュメンタリー番組。放送開始から13年目を迎え、TBSの顔と言えるような風格を備えている。
視聴率は5%台と、深い時間帯にしては高い数字を保ってきた。目の肥えた大人の視聴者が録画して見る価値のある番組という評価を確立している。2000年の「イグアスの滝」の回は9%を超えた。
放送回数は既に500回を超えた。第1回で取り上げたのは、ペルーのマチュピチュ遺跡だ。以後、グランド・キャニオン国立公園(米国)やモン・サン・ミッシェル(フランス)など、数々の世界遺産をハイビジョン映像でリポートしてきた。
あえてリポーターを立てず、映像と音楽、ナレーションだけという、抑制の利いた構成にしている。演出過剰を避けた選択が番組の品格を高止まりさせている。
約800カ所ある世界遺産の半数を既に紹介し終えた。残りは半分を切って、いよいよ全件達成に向かうが、初期に取り上げた世界遺産の再訪も期待したい。
格調高い映像美がコアなファンを育ててきた。放送開始から10周年を機に、ユネスコからTBSと番組スポンサーのソニーが感謝状を贈られた。「世界遺産」という言葉を広めた功績も大きい。
市村は59歳で団塊の世代に属する。歴代のナレーターは初代の俳優・緒形直人から、俳優・寺尾聰、オダギリジョー、歌舞伎俳優・中村勘太郎の4人が務めた。10周年記念のスペシャル番組では俳優の高倉健もナレーターとして登場した。
(以下略)
旧「世界遺産」は私の大好きな番組の1つである。記事にもあるが、映像と音響の美しさ、映画のような技巧を凝らしたカメラーワーク、アングルの決め方、、リアルな音響、それが多くを物語っている。たから、映像と音楽、ナレーションだけという構成で十分なのだ。また、この番組の特徴として、『世界遺産』および『THE世界遺産』のナレーションは、語りに長けるアナウンサーや声優などを起用せず、他の機会においてナレーションの経験が少ない俳優を起用している。 私はそれは正解だと思う。優れた映像と音響には過度なナレーターは必要でないからである。
私が一番良かったと思うのは緒形直人たった。「The Song of Life」の音楽に合わせて、若々しさを感じさせる声で淡々と語り、番組と最後の音楽の部分に行くに連れ、次第に声の高まりを見せ、世界遺産の将来を約束されたような語りが大好きであった。また、明日から仕事を頑張ろうという気にさせた。寺尾聰はどちらかと言うとデカダンスな雰囲気を醸し出しているし、中村勘太郎も良かったが、緒形直人には適わない。市村正親は劇団四季出身らしく、本人は抑えてるが、単語1つにも正確さを出すために、どうしても声の抑揚が大きくなってしまうのが気になる。
結婚式の司会をされる人もひとつ気負わずにこのナレーター方式を取り入れてみたらどうだろう。盛り上がっている場合には、返って良いのではないだろうか?
『世界遺産』および『THE世界遺産』はPTAが子供に見せたい番組上位常連の番組であるが私が見ても子供向けの番組ではなく、例えば、私がギリシャ旅行に個人旅行をした時、時間や交通手段を確保できなかったメテオラ修道院や、トルコ旅行の際、時間、交通手段や宿泊施設を確保できなかったトルコのカッパドキアを見に行けなかったが、この番組で堪能することが出来た。実際に行く以上に美しい映像を見せる、そんな番組なのである。23時半からという時間を考えると視聴者層が限られるため、番組改編で、時間帯も子供も見ることが出来る時間帯になった。しかし、我が家では娘が「ちびまる子ちゃん」を見るので、逆に、めっきりこの番組を見る機会がなくなった。5歳の娘に良い番組だからと言って強制的に見せるわけにも行かず、私だって中学生になるくらいまでは、この番組の価値を見出せないだろうと思う。
何故、私が今回このニュースを取り上げたかと言うと、100年ぶりと言われる世界大恐慌を思わせる経済状況の中で、この番組の唯一のスポンサーであるソニーの中鉢良治社長が世界で正社員8000人を含む1万6000人以上を削減すると発表したからである。この番組も他のスポンサーと共同になってしまうかもしれない。
私は声を大にしていいたい。頑張れソニー!と。
2008年12月22日掲載