高校への数学に記した自分の想い | 次世代を担う子供たちの現在そして未来

高校への数学に記した自分の想い

 「高校への数学(東京出版)」という雑誌で,毎月6ページ「数式編の講義」を担当しています。


 GWということもあって,5月4日発売予定の「2011年6月号」の見本が昨日手元に届きました。この号の原稿を書いたのは,3月27日。ちょうど1ヶ月前で,計画停電がまだ行われていた頃のことでした。まだ先行きが見えない状態でしたから,こんな書き出しで講義を始めました。


 こんにちは。この度の東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。東北・北関東の読者の皆さんが,一日も早く勉強に集中できる環境を取り戻せるよう,心から願っています。


 この高数を手にできる環境にある皆さんは,こんな時期だからこそ地に足をつけて着実に,そして志高く勉強してください。本気で数学に取り組んでください。皆さんが今後数学の学習を通して蓄える実力は,きっと日本の未来にとって大きな力となるはずです。


 あの震災から50日が経過して,自分の周辺は平静さを取り戻してきましたが,特に東北や北関東の学生の皆さんの中には,報道を見る限り「まだまだ勉強どころではない」という方も多くいらっしゃるであろうと推測しています。つらいことですが,「日々自分ができること」に全力を注いでください。その積み重ねは,数学の公式やテクニックよりも深く深く自分に刻み込まれ,一生忘れることのない財産となるはずです。


 日本が復興するまで何年かかるかわかりませんが,私は「日本復興の主役」が読者の皆さんの世代であると信じています。だから・・・,頑張ろう。


 


 そして,もう震災の騒動を忘れてしまった中学生諸君。今回君たちは,様々な場面で「机上の空論」とは何かを身をもって感じたはずだ。君たちの生活に置き換えると,公式や知識を身につけ,テストで正解し得点を積み重ねる「だけ」の勉強では何の意味もないことを,感じ取れたはずだ。


 数学の勉強の目的は,「テストでよい点をとるため」「入試で合格するため」ではないぞ。


今回の原発事故に代表されるような「誰も正解がわからない」事象にブチあたったときに,「最後まであきらめず考え抜き,最善策を生み出す」ためのトレーニングのためだ。


 自分の人生だって,これから君たちは「誰かの指示通り動けば済む」なんてことはなくなる。進学先だって就職先だって,そして生涯の伴侶だって,最後は自分の責任で選択し,自分の足で歩いていくんだ。


 だからこそ「泣き言をいわず自分自身でトコトン考え抜く」習慣を,数学をとおしてしっかり身につけてほしい。



 この期に及んでも「何も考えようとせず」,思考停止に陥って身動きがとれなくなっているような大人たちの真似だけはしないように・・・。