恋しい人魚27琥珀は、あまりの驚きによろめいて腰を砂浜についてしまう。「タコがなんで?タコが話せて人間の珊瑚が話せないなんて、都市じゃ考えられないよ」「タコ、タコ言うな。無礼な少年になったな。せっかく翡翠の為に助けてやったのに・・・」琥珀は、オオダコのオババの言葉に驚く。「翡翠?僕の母さんを知っているの?」「そりゃ知っているよ。昔お前達、家族がこの島に住んでいたんじゃ。お前が、一歳で珊瑚が、赤ん坊の時お前達は、初めて会うのじゃない。これも運命の悪戯じゃな」琥珀と珊瑚は見つめ合った。つづく
恋しい人魚26琥珀は、そっと珊瑚の額に手をあてる。「顔さっきから、赤いけど熱でもあるのかな?」自分の額にも手をあててみる。至近距離に近付いたため、珊瑚は、声にならない声をだしながら、『きゃー』と言いながら、琥珀と距離を置く。それを見ていたカリーが、はぁはーんとニンマリする。「珊瑚?お前へんだぞ・・・もしかして恋か?」珊瑚は、カリーに確信をつかれ、顔を赤らめて素直にうなづく。琥珀は、遠くの二人が何を言っているかわからない。珊瑚の声は人間には、聴こえず島の者だけが、わかるようだ。「人間と人魚か・・・いいんじゃないか?」『でも、これでは片思いだわ』「話せないなら、態度でしめすんだぞ」『言うのは簡単だけど・・・』琥珀が二人の会話を遮るように、珊瑚に近付きながら言う。「何か、気に障る事したかな?大丈夫?」月の海からのっそり、オオダコのオババが現れる。「あーぁ。見てられやしないよ」琥珀は、目を丸くした。それもそのはず、喋らないタコが喋ったのだ。「たっタコが喋った?!機械とか?」「悪いけど生だよ。この島の動物達は皆、話せるんじゃ」つづく
恋しい人魚25琥珀の問いに、少女は、自分の名前を言おうとする。口を動かすのだが、声がでない。『なんで?さっきまで声でたのに・・・オババが人間の姿になるかわりに副作用があるって、もしかして、これの事?!』少女は仕方なく、『さ・ん・ご』と琥珀の掌に指で書く。「さんご?・・・珊瑚きみ話せないのかい?僕は、都市の人間で、琥珀って言うだ。この島にも人間がいるなんて思わなかったよ。他に人間はいるの?」珊瑚は、左右に首を振って答える。「そうかぁ。独りでさびしかっただろう?島の人間だから、その姿なのかな?」珊瑚は、長い髪で胸など隠れてはいたが、裸で琥珀にとっては刺激的で、目のやり場に困る。ふと、回りを見渡し、親父さんの船を見つける。琥珀は、ホッと一息ついた。「良かった船、壊れてないみたいだ。珊瑚ちょっと待っていて」そういうと、琥珀は、船にかけこみ、何かを持って出てきた。裸の珊瑚に服を渡す。『?』カリーは、恐る恐る。小声で珊瑚に言う。「着ろっていってるんじゃないか?」「あれ?なんか聞こえた気がする」琥珀は、ヤドカリが話すと思わないので空耳かと思った。珊瑚が着るのを後ろ向きで待つ。珊瑚は、初めて着る洋服に戸惑いながら、袖を通して、琥珀の肩を軽く叩く。琥珀は、振り向き珊瑚を見ると洋服がぶかぶかだった。「あぁ、サイズあってないね。でも、珊瑚可愛いよ。裸のままでは、僕には、目の毒だよ。一応男だしね。なんか、ごめんね」琥珀が、苦笑いをして珊瑚に謝ると珊瑚は、そんなことないと顔を赤らめて首を振る。つづく