兎のなんでも日和 -4ページ目

兎のなんでも日和

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琥珀達は、病院の霊安室に瑠璃が死んでしまったわけはないと、半信半疑できたのだが、そこには、白い布をかけられた遺体が、横たわっている。
親父さんと女将さんは悲しみにくれていた。


琥珀は、白い布を恐る恐る外すと、紛れも無く、瑠璃だった。まるで、名前を呼べばおきるんじゃないか、冗談だと言って目を開けてくれるんじゃないかと思うほど、眠るような死に顔だ。


「一人娘の瑠璃が、死んでしまうなんて実感がわかないの、まだ、あたたかいのよ」


「俺が、変わりに死ねばよかったんだ!瑠璃・・・ごめんよ」


親父さんが、琥珀に詰め寄った。


「琥珀のおふくろさん救ったように、うちの瑠璃も奇跡で、生き返らせてくれ、このとおりだ」



親父さんは、霊安室で土下座して頭を床につける。


「すいません・・・親父さん、女将さん・・・僕にはもう奇跡なんておこせないんです」


琥珀が、大粒の涙を流す姿を、珊瑚は真剣な表情で見ている。


『琥珀、瑠璃さんの事が、凄い好きなのね。私には、瑠璃さんのかわりにはなれないんだわ』


珊瑚は、琥珀の思いを勘違いしてしまった。


珊瑚はふと、島でのオオダコのオババと琥珀のやりとりを思い出し、霊安室をとびたし海に向かう。


琥珀と母翡翠は、それに気づき慌てて珊瑚を追いかけた。


つづく


琥珀は、告白の決心を固めて、デイジーの花を持って家の玄関の扉を開けると同時に、珊瑚が抱き着いてきた。


『琥珀、お帰りなさい』


「大胆ね。珊瑚ちゃん♪」


「母さん・・・僕の気持ち、決まったから・・・」


琥珀の体にくっついてる珊瑚の頭を撫でて、玄関の外へ二人ででた瞬間。


傷だらけの親父さんが、血の気がひいた顔をして、琥珀の家にきていた。


「わ!親父さん?!」


抱き着いている珊瑚を引き離す。親父さんは、涙を流してその場に、泣き崩れこむ。


「その怪我どうしたんですか?一体何が?」


親父さんは、言葉につまりながら言う。


「瑠璃が・・・瑠璃が帰りの車を走らせていたら、工場の壁が脆く崩れて運転席を直撃して・・・しっ・・・死んでしまった」


今さっきまで、生きていた瑠璃が、死んだと聞かされ、琥珀は、信じられなかった。瑠璃とのやり取りが、フラッシュバックする。力が抜けたように言葉を発するのがやっとだった。


「そんな、嘘だ・・・」


つづく


瑠璃は、琥珀に強引にせまれば、今は、気持ちが珊瑚に傾いてしまっても、瑠璃の元に戻ってくれるだろうと、行動におこしたのだが、失敗に終わってしまう。


「琥珀くんごめんなさい。でも、私の気持ちわかって欲しかったの・・・」


「うん。僕が瑠璃さんの立場だったら、不安でそうしたかもしれない」


琥珀は、優しく瑠璃に言う。そして、仕事を終えて、瑠璃と親父さんを後に家に帰っていった。


「琥珀くんの家には、きっとあの子(珊瑚)もいるのね」


もう、手が届かないと核心してしまった。そんな瑠璃を見兼ねて、親父さんは、ポンッと瑠璃のお尻を軽く叩いた。


「きゃっ」


瑠璃は、思わず声をだしてしまう。


「琥珀だけが男じゃない。これからいっぱい出会える。女磨いて琥珀を見返してやれ」


ガハハッと豪快に、親父さんが、笑うので瑠璃の心も軽くなった気がした。


「お父さん・・・」


「さっ、帰ろう」


二人仲良く瑠璃の車に乗り、車を走らせ、家路に向かう途中。工場の壁が脆く崩れ落ち、車に直撃する。


つづく