琥珀達は、病院の霊安室に瑠璃が死んでしまったわけはないと、半信半疑できたのだが、そこには、白い布をかけられた遺体が、横たわっている。
親父さんと女将さんは悲しみにくれていた。
琥珀は、白い布を恐る恐る外すと、紛れも無く、瑠璃だった。まるで、名前を呼べばおきるんじゃないか、冗談だと言って目を開けてくれるんじゃないかと思うほど、眠るような死に顔だ。
「一人娘の瑠璃が、死んでしまうなんて実感がわかないの、まだ、あたたかいのよ」
「俺が、変わりに死ねばよかったんだ!瑠璃・・・ごめんよ」
親父さんが、琥珀に詰め寄った。
「琥珀のおふくろさん救ったように、うちの瑠璃も奇跡で、生き返らせてくれ、このとおりだ」
親父さんは、霊安室で土下座して頭を床につける。
「すいません・・・親父さん、女将さん・・・僕にはもう奇跡なんておこせないんです」
琥珀が、大粒の涙を流す姿を、珊瑚は真剣な表情で見ている。
『琥珀、瑠璃さんの事が、凄い好きなのね。私には、瑠璃さんのかわりにはなれないんだわ』
珊瑚は、琥珀の思いを勘違いしてしまった。
珊瑚はふと、島でのオオダコのオババと琥珀のやりとりを思い出し、霊安室をとびたし海に向かう。
琥珀と母翡翠は、それに気づき慌てて珊瑚を追いかけた。
つづく