兎のなんでも日和 -15ページ目

兎のなんでも日和

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「あっ、お魚さん達がつかまってる」


少女の人魚は、口に手でおさえ、何も出来ない悲しさと恐さでおびえていたのだが、ふと人間の琥珀に目がはなせなくなり。琥珀に心奪われてしまう。


それが、なんなのかは今は気づかない。心臓がドキドキと早鐘をうつ。


「どうしちゃったの私?」


そうこう、してる間に、漁が終わり、船は都市に戻っていく。


少女の人魚は、海面から顔をだし、船の去った後、急いで、月の海に住む主と呼ばれるオオダコのオババのもとに帰っていった。


つづく


島の端っこまで、海の波に、身を任せ少女の人魚は、ゆらゆらとただよっている。


すると、遠くから何か近づいてくる気配がしたので、慌てて海中に潜り、離れて、眺めていると、琥珀の乗った船が漁をはじめた。


「因果だな。都市からこんなに離れた場所じゃないと魚がとれないなんて・・・」


「そうですね。都市の海は工場から排出された水で汚染されてるから、魚なんて住めないですよ。いても食べれないけど・・・」


ふと顔をあげると、『神に護られた島』が、遠くに見える。


何故か、琥珀は、懐かしい気持ちにさせられる。心が『あの島に帰りたい』と言ってる気がする。


「おい!琥珀?!何黄昏れてるんだ?魚逃すぞ!仕事、仕事!」


親父さんの言葉に我に返り。


「すいません!」


大声で謝り、急いで仕事にとりかかった。


つづく


瑠璃という若い女性は、琥珀が働かせてもらっている漁師の親父さんの一人娘。


歳は、琥珀の3つ上、20歳になったばかりで、琥珀の憧れでもある。お弁当箱を手渡してくれた。


「母にならって、今日作ってみたの、口に合うといいんだけど・・・」


しとやかな娘を見た親父さんが、口を挟んできた。


「俺は、おまけか?」


「嫌だ!お父さんヤキモチ妬いてるの?お母さんの愛情弁当が、ここにあるじゃない」


ポンポンと手作り弁当を軽く叩く。


「まっ、琥珀なら瑠璃を嫁がせてもいいけどな?姐さん女房か・・・尻に敷かれるなよ」


ガハハッと豪快に親父さんは、笑いながら先に船に乗り込む。


琥珀と瑠璃は、赤面して固まってしまった。照れ隠しに、瑠璃は小さな咳ばらいをして、言葉を付け加える。


「もう、お父さんたら・・・重く受け止めないでね・・・じゃ、気をつけて、いってらっしゃい」


「行ってきます」


こくんと頷き琥珀は、船に乗り込む。


つづく