お昼になって、診察時間が終わり、
いよいよ連れて行く時刻になりました。

今までは車の三列目を倒して、ラブを乗せていたのですが、
その日は最後に旦那が抱っこして向かう事になりました。

かなりやせ細っていたとはいえ、
20キロを超える体。
重さよりも、やはり犬としての大きさでとても抱っこしにくそう。
それでも毛布で包み、旦那は二列目に乗り込みました。
その時、眠っていたラブが目をあけたそうです。

旦那に抱っこされ、遠いパピーだった昔を思い出したのかな。
悔しいながら、ラブの一番好きな人は旦那でした。
そんな旦那に抱っこされ、きっと幸せな時間・・・だったと思います。

これが最後のドライブでした。

すぐに病院に着き、家族は診察室から出され、
血管に針が入れられ、再び呼ばれました。

まず、麻酔薬を入れ、次に心臓と呼吸の止まる薬を入れるそうです。

説明してくれる先生の話も、何だか耳に入ってきません。

今なら間に合う、今ならまだラブは生きている。
今なら、今なら、今なら・・・・

そうずっと考えていたと思います。
でも、声が出ない。
そう言ってしまっては、駄目な気がして。

旦那はずっとラブの顔に自分の顔つ押し当て、泣いている。
まだ、間に合うよ、死んでないよ。
そう思いながらも、彼女の細い足をたださする事しか出来ませんでした。

先生が1つ目の薬を、ラブの体に流し込みました。

今までゆっくり静かに呼吸をしていたラブが、
すぐにため息のような呼吸を3度ほどし、何も聞こえなくなりました。
肺からすべて押し出すような、そんな最後の呼吸です。

その時ラブがラブの体を離れた事がわりました。
病に冒され、ぼろぼろになったその体を抜け、
きっととまどい、私たちの傍にいるんだろう・・・
そんな事を考えました。

もう、取り返しがつかない。
もう、終わってしまったのです。

2つ目の薬を入れ、すぐに心音を確かめておられましたが、
すでに止まっていたようです。

2000年5月13日にこの世に生をうけ、
ラブという名前で呼ばれていた間、
ずっと打ち続けていた鼓動が、その日、止まりました。

2011年10月11日午後1時20分の事です。

それからの事は、自分で言うのも何ですが、
気丈に車を運転して帰宅し、
花を手向け、すぐに動物墓地へと向かいました。

今となれば、数日一緒に過ごせばよかったかな。
と思うのですが、母の冷たさを思い出すと、
ラブがそうなってしまうのが辛かったのです。
冷たいラブを触りたくなかった・・・。
温かい、ラブのままでいて欲しかったのです。

合同葬で、遺骨は帰ってきませんでした。

残ったのは、ラブの少ないながらもふわふわだった遺毛と、
思い出と、悲しみ。

今となっても、思い出よりも、悲しみの方が大きいような気がします。

これじゃあ、ラブがなんの為に私たちの所へきたのか、わからないですよね。

一日も早く、ラブの話を泣かずに話せるようにならなくては・・・。



話がとても長くなってしまってすみませんでした。
最初は一日で書くつもりだったのですが、
ダラダラとながくなってしまいました。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

これからは、もっと楽しい話を綴っていこうと思います!