--早いものでJ1初挑戦のシーズンも残り6試合となりました。現状のチームの成績をどのようにご覧になっていますか。

上田「社長の藤田も『ゼルつく』で答えていたように、シーズン当初はJ1定着をコミットラインとしている中で、優勝争いができており、黒田剛監督を中心に想定以上の成果を出していただいています。J1初年度としては申し分ない順位だと思います。またチームの成績が良いことが波及効果を生み、相馬勇紀選手や中山雄太選手といった、J1初年度ではなかなか加入いただけないような代表クラスの選手にゼルビアの一員になってくれたことも、良いシーズンになっていることを印象づけています。」

 

--黒田監督が目標に掲げた5位以内も現実的な位置にいます。

上田「当初の5位以内も非常に高い目標だと捉えていました。当初の目標を超過し、さらにその上を狙える優勝争いを展開していることも含めて、素晴らしいシーズンになっています。」

 

--事業部サイドの成果は、どのように評価されていますか。

上田「観客動員の面では、チームの順位の効果もあり、昨季の倍以上の観客動員を記録しています。平日のナイターを入れても野津田の平均観客動員数は1万人を超えていますし、多くのファン層を取り込めているという感触はあります。」

 

--パートナー事業部関連の成果はいかがですか。

上田「スポンサー収入の面でも、大変ありがたいことに、多くの既存のスポンサーの皆様にも増額をご決定いただけたり、エイベックス様なども含めて新たにご協賛していただいた企業様も多く、過去最高収益となる見込みです。事業部サイドとしても素晴らしい成果が出ております。」

 

--事業関連も好調である理由は、トップチームの好成績とリンクしているのでしょうか。

上田「大前提としてJ1初昇格という注目度もありますし、5位より下の順位だとしても過去最高を更新できたと思いますが、順位が良かったことによる効果が2倍、3倍、そして10倍にも引き上げてくれている側面もあり、両輪が歯車のように噛み合っています。」

 

--新規のパートナー企業の数も増えているのでしょうか。

上田「今年は特にJ1でもあるため、数がたくさん増えているというよりも、大型案件がまとまるケースが増えています。地元の町田の方々にも大変多くのご支援をいただいていますが、都心の企業さまはより一層、J1であれば関心の度合いが変わってきます。他のJ1クラブと肩を並べてご提案させていただける機会は格段に増えています。パートナー企業の皆様からは、今後も常に上位に入ってほしいという期待もをいただいておりますので、皆様からの声を励みに頑張っていきたいです。」

 

--観客動員増加の要因は、ここ2シーズンでファン、サポーターの数が増えていることが背景にあるのでしょうか。

上田「来城者アンケートを見る限り、ここ2シーズンでの新たなファン層が4割から5割程度という数値が出ています。一方でそれ以前からのファン層が5割から6割程度になっており、新規のファン層と従来のファン層がミックスされている状況にあります。急成長中のクラブということもあってか、新規のファン層には恵まれている状況です。」

 

--そこまで新規のファン層が増えている理由は、何本かの柱に支えられているのでしょうか。

上田「J1初挑戦であること、上位に位置していることに対する注目度、あとは国立開催の影響が大きいです。国立開催が新規のファンの入り口となり、リピーターとして野津田にお越しいただけています。年4度の国立開催は大きなポイントです。」

 

--どんな年齢層や属性が増えているのでしょうか。

上田「40代や50代が一番多いことは変わりませんが、J1昇格以降は20代、30代の若い年代や女性のファンも増えまして、応援して下さる年代が幅広くなってきたことでJ1クラブらしくなってきました。」

 

--ゴール裏の雰囲気はいかがでしょうか。

上田「昨季に比べて、立って声を出して応援して下さる方々も増えていますし、夏以降はほぼゴール裏は満席になっています。格段と雰囲気は良くなっていると感じています。」

 

--ゴール裏の雰囲気が変わってきた要因は?

上田「一番大きいのは勝っていることでしょうか。またJ1の注目度も影響しています。初めてJ1クラブと対戦している中で、相手クラブのゴール裏の圧力や人数に看過されて、ゴール裏の拡大をより一層自発的に行ってくださっていることも良い効果を生んでいます。」

 

--シーズン序盤からどんな変化のプロセスを歩んできたのでしょうか。

上田「まずは、ゴール裏の方々がゴール裏で応援する方々を増やそうという努力をしてきて下さったことに、何よりも感謝しております。また、クラブとしても積極的にゴール裏を体験できるような招待企画も実行してきました。またゴール裏の皆様と協議した結果、中心部を真ん中の位置に持ってくる変更もしてきました。メインスタンドもバックスタンドもスタジアムで一体となれる環境作りをしてきていることが、徐々に結果に繋がっています。」

 

--上田さんご自身がゴール裏のサポーターの方と直接コミュニケーションを取るような機会はあるのでしょうか。

 

上田「ほぼ毎ホームゲームの試合前に、サポーターの代表の方と30分程度ミーティングをさせていただいております。その中で、新しい応援歌が出来たり、大型ビジョンでの応援歌の歌詞表示を始めたり、またビッグフラッグの掲出にもご協力させていただいたりと、 “二人三脚”で取り組んでいます。」

 

 

--試合前にはゴール裏のサポーターの前で挨拶をする機会もありますが、そこまでされている想いの背景を聞かせて下さい。

上田「前社長の大友さんが実施をされていたのを継続しようと思ったからです。ご来場いただいたファン、サポーターの皆様と直接話し合うことや、触れ合う機会は少ないのですが、クラブとしても、サポーターの皆様と“二人三脚”で一緒に戦っていきたい、という強い想いを持っています。サポーターの皆様と一体感を作れる場があればと、始めたことがきっかけになっています。」

 

--定期的にクラブゼルビスタの方々との交流会も実施されていますよね。

上田「ちょうど1年前ぐらいから始めました。僕だけではなく、他のクラブスタッフも参加する形でクラブゼルビスタ会員15人ぐらいの方と交流させていただいています。参加者の方の中には関東リーグの頃からのファンの方もいらっしゃいます。皆様の声を聞くたびに、もっと頑張らねばという気持ちになります。毎回勉強させていただいていますし、勇気もいただいています。」

 

--来城者が増えたことで課題も見えたのでは。

上田「応援歴や、スタジアムに足を運ぶ頻度など、ゼルビアへの関わり方やペースがそれぞれ違うことで、応援の熱量やスタイルに関してどうしても温度差が出てしまいます。その中で、いかにして全員で足並みを揃えていけるか、それぞれの温度差をリスペクトした上でどうワンチームになれるか、そういったことがクラブのレベルをもっと上げていくための課題になると思っています。」

 

--今後はどんなスタジアムの空間を作っていくことを望んでいますか。

上田「熱くて、前向きで、ポジティブな空間を作ることです。先日のアウェイ広島戦では黒田監督も試合後の記者会見で「スタジアムの雰囲気に圧倒された」と話されていたように、野津田や国立でそこまでのホームの雰囲気を作っていきたいと思っています。「ブーイングはしない」というゼルビアのサポーター文化を尊重しながら、常に前向きにポジティブに後押しをしていただく、熱い雰囲気を作っていきたいです。」

 

--今年はJ1昇格1年目で優勝を狙える位置のまま、終盤戦を迎えています。

上田「追う立場になったので、変なプレッシャーを感じることなく、一戦一戦を大事に戦っていきたいです。他クラブの結果はどうなるか分かりませんし、残り6試合を6連勝で終えるために全力で戦っていくのみです。最終的な順位がどうであれ、いい流れでシーズンを終えることで来季に繋がっていくと思っています。残り2カ月近く、一致団結して戦っていきます。」

 

--ホームゲームも残り3試合となりました。

上田「入場者数の最高記録の更新を、野津田と国立どちらも狙っていく気持ちで準備に臨んでいます。国立でのホームゲームでは、社内でも「5万人の壁」を越えようと、目標を掲げています。優勝争いにも関わる試合ですし、同じ東京都にあるFC東京さんが相手でもありますので、ぜひ目標を達成したいと思っています。またホーム最終戦の京都戦は、良い形でシーズンを締めくくれるようにしたいです。」

 

--FC東京戦は国立初勝利が懸かった試合です。

上田「国立初勝利を来年の観客増に繋げていきたいです。FC東京さんは国立無敗ですが、我々としては、宿題を来季に持ち越したくないですね。」

 

--改めて、優勝するために大事にしたいことは何でしょうか。

上田「月並みかもしれませんが、ここから大事なのは、どんなときでもクラブが一体になることです。崩れる時は内側からですし、クラブとサポーターの皆様もお互いに信頼し合って、同じ方向を向いて一致団結して、前向きにタフに進んでいきたいです。」

 

--ファン、サポーターの方々に望むことは?

上田「クラブを熱く応援して下さい。おかげさまで急激にファン、サポーターの数が増えている中で、クラブに対しての想いは人それぞれだと思いますが、「ゼルビアが好きで応援して下さっている」という想いは一緒だと思います。お互いを大事にしながら、より一致団結して応援していただけますと幸いです。

よろしくお願いいたします。」

 

●編集後記・・・

リーグも終盤戦に突入します。

 

クラブのメッセージが一人でも多くの方に届き

そして、『満員の天空の城 野津田』で選手・スタッフを後押ししたいと思います。

 

唯一無二の空間。

私達の天空の城を青く染める。

 

(MACHIDiary 編集長より)